サックスを演奏できるようになりたい方の中には、ジャズでよく使われているテナーサックスへのあこがれがある場合もあるでしょう。
低音がかっこいいテナーサックスをうまく演奏できるようになれば、さまざまな有名曲に挑戦できます。
テナーサックスとはどのような楽器か、初心者向けのテナーサックスはどの商品がいいのか。
安くて人気のおすすめ商品についてもお伝えします。
テナーサックスとは
サックスは主に4種類あります。
音の高い方から「ソプラノ」「アルト」「テナー」「バリトン」の順です。
吹奏楽やサックス四重奏でテナーサックスは中低音を担当し、美しい副旋律やハーモニーを奏で、包容力のある音が魅力的。
またジャズやポップスではテナーサックスがソロを担当することもあり、渋い低音で聴衆を魅了する機会も多い楽器です。
形はアルトサックスと似ていますが、テナーサックスはマウスピースにつながる「ネック」と呼ばれる管が、S字を描くように少し曲がっているのが特徴です。
テナーサックスはB♭管(ベー管)で、ドの音を吹くとピアノの「シ♭」の音が鳴ります。
E♭管(エス管)のアルトサックスとは楽譜が別ですので、楽譜はテナー用の購入が必要です。
初心者向けテナーサックスの選び方
10万円以上のものが安心
テナーサックスの値段はピンからキリまであり、安いものなら3万円~4万円程度で手に入ります。
しかしあまり安すぎるものだと、サックスの音色の良さやや吹きやすさが低い場合が。
それだとせっかく練習しても、「うまくいい音がでないな」と意欲が落ちる可能性も。
また安い楽器はそれなりに楽器の寿命も短いので、長く楽しむには難があります。
かといって高いものとなると100万円以上するものもあり、それほどの楽器を初心者が買うのは勇気が要りますよね。
ですから、だいたい10万円以上のサックスなら品質が安定しており、練習に支障が出にくくて安心だと考えられます。
テナーの場合は楽器が大きく値段も高めなので、10~20万円台くらいの楽器が初心者用と考えましょう。
楽器店で試し吹きをして買う
初心者の場合はできれば実際に楽器店に足をはこんで買うのがおすすめ。
多くの楽器店では「試し吹き」ができるので、実際に吹いてみて音が出しやすい、自分の好みの響きがする楽器を選ぶのが、楽しく上達するコツです。
楽器店で買うことで、購入後のメンテナンスもお願いしやすいというメリットもあります。もしもネットから購入する場合は、レビューなどをしっかり読んでから購入しましょう。
中古はあまりおすすめではない
サックスは中古もありますが、初心者の場合はあまりおすすめしません。
なぜなら楽器は演奏者のクセのようなものが出やすく、初心者が思うように基本的な奏法を身につけられない可能性があるからです。
さらに楽器はメンテナンスにも費用がかかるもの。
中古の場合はよく手入れされて状態のよいものを選ばなければ、余計な費用がかかる可能性があります。
そこまでこだわりのない場合はいいですが、正しい演奏方法を身につけたいという方は、新品がおすすめです。
ケアグッズや教本も付属しているセットを買う
初めてサックスを買うなら、掃除道具などのケア用品も一式セットになったものを買うのがおすすめ。
マウスピースやリード、ストラップ(首から楽器をつり下げるもの)、スワブ(管を掃除するもの)などがそろったセットが販売されています。
楽器に合う種類のものがセットになっているので、一つ一つを選んで買うより失敗がなくそろえられるのが安心です。
初心者向けテナーサックスおすすめ10選
YAMAHA(YTS-380)
国内を代表するメーカー「YAMAHA」のスタンダードなテナーサックス。
音程が正確で、キイは手になじみやすいよう配置され、操作しやすいという特徴があります。
指を掛ける部分が調節でき、長く練習しても指が疲れにくい仕様。
YAMAHA(YTS-480)
こちらもYAMAHAの入門者用テナーサックス。
先ほどのYTS-380のワンランク上のタイプで、ネックの鳴りを改善し、ネックを上級の「カスタムシリーズ」のものへ交換が可能。
ベルのところに美しい手彫りの模様が掘られているのも特徴です。
YAMAHA(YTS-62)
こちらは初心者用としては値段が高めですが、YAMAHAの伝統を受け継ぎながら技術革新がこめられたモデルです。
職人が手で彫った彫刻は美しく、高級感もあります。
キイの連結部分の設計が革新され、どの音域もスムーズに演奏でき、音も深みが出る設計です。
YANAGISAWA(T-WO1)
国内メーカーの「YANAGISAWA」のテナーサックスです。
ヤナギサワのサックスは「ライト仕様」と「ヘヴィ仕様」があり、このWO1はライト仕様。
吹き心地が軽く、それでいて響きがしっかりしています。
ヤナギサワのテナーの中で一番安いですが、上級者にも愛用者がいる人気モデルです。
YANAGISAWA(T-WO2)
こちらもヤナギサワの「ライト仕様」のテナーサックスです。
吹き心地が軽いので、やや価格は高めですが、初心者に向いています。
音は艶があり豊かで安定した響きで、ブロンズブラス製なので柔らかい音が特徴です。
H.Selmerテナーサックス Axos
H.Selmer(セルマー)はフランスのパリ発祥の老舗サックスメーカーです。
サックスプレイヤーなら憧れるブランドで、全体的に価格帯は高め。
その中で初心者向けなのが「Axos(アクソス)」。
職人の高い技術が導入されていながら、プロ志向のプレイヤーのための入門モデルになっています。
演奏しやすさ・伸びやかな音・耐久性を兼ね備えており、キイの配置は人間工学に基づくので操作性も抜群です。
H.Selmerテナーサックス SA80 S-Ⅱ Jubilee
初心者でも、良い楽器を使いたいという場合は、こちらがおすすめ。
セルマーの「スーパーアクション80シリーズ2 ジュビリー」です。
価格は高いですが、セルマーの真髄と言われ、力強く音の伸びが素晴らしい。
中低音も安定して演奏でき、バランスの良いモデルです。
ゴールドラッカーに華やかで高級感のある美しい彫刻が彫られています。
Antiguaエルドン(TS2800)
Antigua(アンティグア)は、1991年設立のアメリカのサックスメーカーです。
前述したセルマーの輸入代理店「野中貿易」が、国内へ輸入の際に再調整し、良質な状態で国内販売しています。
アンティグアの製品は低価格なのに品質が良く、プロからも驚きをもって迎えられています。
手頃な価格の楽器でスタートしたい、という初心者におすすめです。
Antiguaスタンダード(TS3108)
アンティグアの「スタンダード」は、20万円とテナーにしてはお手頃価格。
しかし、プロに「この価格でこのクオリティ」と言わしめる品質の良さです。
ストレスのない吹き心地で、全音域を音程よく吹けます。
他社製より管体がやや薄めで、ジャズにも向いた仕様なので、いずれジャズに挑戦したい初心者にピッタリです。
Antiguaパワーベル(TS4248)
アンティグアの「パワーベル」は、前述の製品よりも大きなベルを採用しています。
低音はあたたかく、高音域はパワフルに。
音程も安定しています。
楽器表面の仕上げが「Classic brass finish」など計10パターンから選べるのも特徴。
テナーサックスは20万円台~30万円台で購入が可能で、品質の割にリーズナブルなのが魅力です。
テナーサックス初心者の練習方法
マウスピースだけで正しいアンブシュアで音を出す
サックスの最初の練習といえば、なんといっても正しい口の形(アンブシュア)の獲得です。
初めに間違ったアンブシュアを身につけてしまうと、後から修正するのは大変。
できれば初心者は、アンブシュアを演奏経験者に教えてもらう方がいいでしょう。
楽器店のサックス教室などでは体験講座をしている場合もあり、最初のアンブシュア、姿勢、リードの付け方・選び方などだけでも教わると安心です。
また専門家が公開しているレッスン動画を参考にするのもいいでしょう。
最初の練習は、マウスピース(吹き口の部分)だけで音を出します。
マウスピースだけでしっかり音が出たら、次はネックをつける、その次は楽器本体にセットして音を出す、という順で練習していきます。
ロングトーンの練習
次にメトロノームを使って「ロングトーン」を練習します。
正しいアンブシュアのまま、一つの音を長く伸ばすのですが、これには腹式呼吸が必要です。
メトロノームをゆっくりのテンポにし、8拍吹いて音を伸ばし、2拍で息を吸ってまた次の音を伸ばす、といった練習をします。
これを「ド」の音から下のドまで、あるいは上のドまで、など全ての音でやってみてください。
ポイントは「音が揺れない」「音の厚みが途中で薄くならない」ように意識してやることです。
ロングトーンは基礎中の基礎なので、プロも毎回練習に取り入れています。
タンギングの練習
しっかり音が出せるようになると、次は「タンギング」の練習です。
タンギングとは、マウスピースに取り付けたリードの先を、舌で止めて音を切るように演奏することを指します。
音を長くのばしたまま、舌で「トゥ」などの発音でリードをさわり、音を止めるのを繰り返します。
(小さい時にリコーダーの練習でやったことがある場合もあるかもしれません。)
これも、ゆっくりのテンポからだんだん速いテンポでできるように練習します。
スケール練習
スケール練習とは、ト長調などの音階を、スムーズに指を動かして吹けるように練習することです。
教本(テキスト)などを参考に、いろんな調の音階を練習します。
「ドレミファソラシド レドシラソファミレド」など、低い音から高い音へ向かって吹き、また低い音に降りてくるような練習ですね。
ゆっくりのテンポから練習し、できるだけ音のボリュームが変わらず、音がつながるように吹きます。
テナーサックス初心者のおすすめ練習曲
基礎練習ができるようになったら、いよいよ曲の練習です。
初心者におすすめのテナーサックスの曲をご紹介します。
ハナミズキ(一青窈)
この曲はゆったりしたメロディーで、同じ音を連続して吹くようなフレーズも多く、指づかいが難しくありません。
また美しい有名なメロディーが、練習意欲を高めてくれるでしょう。
時折♯や♭が出るので、きちんとキイを押す練習にもなります。
虹の彼方に(ミュージカル「オズの魔法使い」より)
この曲もスローテンポなので、初心者に向いています。
出すのが難しい高音や、キィを押すのが難しい低音も少ない演奏しやすいメロディーです。
またジャズアレンジのものもあるので、うまく吹けるようになればそちらに挑戦するのもいいでしょう。
糸(中島みゆき)
音程は高すぎず低すぎず、初心者向き。
どの年代の人にも言わずと知れた名曲であり、この曲を吹けるとちょっと自慢できます。
スローテンポですが、サビの部分はやや指づかいが早く、単調ではないので練習し甲斐のある曲です。
クリスマス・イブ(山下達郎)
こちらも全世代に知られた、ムードたっぷりの人気曲。
ややハイテンポの曲ですが、同じ音を連続して吹くフレーズが多く、タンギングの練習にもなります。
著しい高音や低音があまりなく、使う音が大体決まっているので、繰り返し練習すればスムーズに吹けるようになるでしょう。
テナーの渋い低音が大変合う曲です。
まとめ
初心者がテナーサックスを購入するなら、価格が安すぎず、吹きやすい楽器を選びましょう。
楽器店の試し吹きや、体験レッスンも活用し、実際に吹いて納得のいく楽器を選ぶのがおすすめです。
大切な楽器と、ゆっくりと音を育てながら、サックスのある生活を楽しんでくださいね。
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