オーボエを演奏する上で、決して欠かせないものがリードです。
オーボエのリードは個体差が激しく、気候や湿度によっても変動するため、扱いが難しいことで知られています。
また他のリード楽器より演奏に与える影響が比較的大きく、特に音色や吹奏感の大部分はリードで決まってしまいます。
オーボエが世界で最も難しい木管楽器として、ギネスに登録されたことがあるのは有名な話です。
その理由の一つに、このリードの管理の煩雑さがあるともいわれています。
そんな繊細なオーボエのリードのおすすめ既製品や、コスパ最強のもの、使い方から自作方法に関しても併せてご紹介します。
オーボエリードとは
オーボエリードとは、チューブという管状の部品に、ケーンという葦で出来た板が二枚巻き付けられてできています。
ケーンの間に息を通すと、リードが震えて音が出るという仕組みです。
主な入手方法は店頭や通販で既製品を購入することですが、プロやこだわり派のアマチュア奏者は、自作したリードを使って演奏しています。
また、ご存知ない方も多いようですが、リードの寿命の長さには個体差がありますが、大体1カ月前後と言われています。
寿命を迎えたリードは吹奏感や操作性が変化するのですが、まだオーボエを始めて間もない方にはなかなか見極めが難しいもの。
オーボエリードは、安いものも高いものも全て等しく基本的に消耗品ですので、目安の期間を過ぎるか「少し吹きにくいな」と感じ始めたら新しいリードに交換してみましょう。
オーボエ リードの育て方
買ったばかりのリードが重くて吹きにくい、と感じたことはありませんか。
古いリードを使い続けると問題があるということは先にお伝えした通りですが、実は新しければ良いというわけでもないのです。
新品のリードは多くの場合、まだ状態が落ち着いていません。
そのため、購入後ある程度時間をかけてリードを「育てる」必要があります。
基礎練習をする
ロングトーンやスケールといった基礎練習をゆっくり行います。
これはリードを慣らしつつ、今の状態を把握することを目的としています。
音色や吹奏感はもちろん、ピッチにも注意して確認してみてください。
リードの開きを抑える
新しいリードは、先端が開き過ぎてしまう傾向にあります。
そのままだと吹奏感が重くなってしまいますので、適宜開きを調整しなければなりません。
割れないよう十分注意しながら、ケーン部分を親指と人差し指で挟み込むように潰し、開きを抑えてください。
この時先端だけではなく下部も一緒に潰すと、よりしっかりと開きの戻りを防ぐことができます。
曲を吹いてみる
だいぶ落ち着いてきたと思ったら、自分が今さらっている曲やエチュードを吹いてみましょう。
いざ曲を吹いてみると、「もっと軽い方がよかった」「少しピッチが取りづらいかも?」など、問題が浮き彫りになることがあるかもしれません。
可能ならば自分で、もしくは信頼できる奏者や講師に頼んで、ナイフで最終調整を行いましょう。
オーボエリードにこだわるメリット
納得いく演奏の助けになる
オーボエ奏者のパフォーマンスは、リードの状態に大きく影響を受けるため、こだわりを持ってリードを選び、きちんと育てて本番に臨むことが大切です。
本番で演奏が成功するか否かは、半分以上リードにかかっていると言っても過言ではありません。
良いリードは舞台上において、何より心強い味方となってくれることでしょう。
上達に繋がる
自分の奏法に合ったリードを選ぶことが理想的ですが、初心者はまだ基礎が固まっていないため、リードの方に自分が合わせてしまいがちです。
この時吹きにくいリードを使ってしまうと、変な癖がついて後々苦労することになりかねません。
逆に良いリードを使えば、演奏のツボを無理なく掴めるため、上達が早くなる傾向があります。
オーボエがより楽しくなる
楽器を吹いていて楽しい瞬間とは、やはり自分の思い通りに上手く演奏できた時ではないでしょうか。
演奏を楽しむためにはもちろん練習も必要ですが、リードにこだわることも同じくらい大切です。
良いリードは心地良い吹奏感と優れたパフォーマンスをもたらし、オーボエライフをより彩ってくれることでしょう。
オーボエリードの選び方
リードのタイプ
オーボエには大きく分けて、下記の3つのスタイルがあります。
- ジャーマン
- フレンチ
- アメリカン
それぞれリードが異なるため、自分のスタイルに合ったものを購入しなければなりません。
よく分からない場合は、自分の楽器がどこの国のメーカーかを調べてみてください。
たとえばフランスのメーカーであるマリゴのオーボエを使っているならば、まずはフレンチタイプのリードから選ぶと良いでしょう。
硬さや重さ
リードの商品ページを見ると、「ハード」「ミディアムソフト」「ライト」といった表示が目に入るかと思います。
これはリードの硬さや重さを表したものです。
絶対的な基準があるわけではないためあくまで目安ではありますが、試奏なしで購入する際には貴重な情報となります。
必ずチェックして、自分の好みに合いそうなものを選びましょう。
チューブやケーンの種類
製作にあたって使用した材料の情報が公開されていた場合は、忘れずに確認しておいてください。
色々なリードを使ううちに、自分が好きなメーカーだけでなく、好みのケーンやチューブの傾向まで見えてくるかもしれません。
これは既製品を選ぶ手がかりになるだけでなく、将来リードを自作することになった際に大きなヒントとなってくれます。
糸の色(番外編)
使われている糸の「種類」は音に影響を与えますが、「色」そのものは演奏に全く関係がありません。
しかしリードの糸は演奏中、否応なしに目に入ります。
お気に入りの服を着る時と同じように、好きな色のリードを使えば気分が上がり、より演奏が楽しくなるでしょう。
もちろん性能を十分吟味するのは大前提として、もし迷ったらそういった選び方をしてみても良いかもしれません。
オーボエリードおすすめ10選
モリタオーボエリード
ジャーマン系のつくりですが、比較的あらゆるタイプの楽器に合うリードです。硬さはミディアムとなっています。
適度な抵抗感があり、低い音から高い音まで安定して鳴らすことができます。
軽すぎるリードが苦手な方や、柔らかい吹奏感が好きな方には特におすすめです。
入門者から上級者まで、幅広くお使いいただけます。
OBOE REED Pinoオーボエリード:ピノ
軽い吹奏感と明るい音色が特徴のリードです。
体力にあまり自信のない方や、小さなお子さんでも無理なく音を出すことができます。
軽いリードは音色がペラペラになりがちなのですが、ピノはそのようなこともなく、きちんと良い音で鳴ってくれます。
特に楽器を始めたばかりの方におすすめです。
オレンジの糸にホログラムのラメという見た目も可愛い一品です。
クワナガオーボエリード
息が詰まることなくスムーズに流れるため、ストレスなく吹けるリードです。
発音の反応も良く、フレキシブルな演奏にも対応することが可能です。
音色は明るめですが決して軽すぎることはなく、ふくよかな太い音を出すことができます。
「楽に吹きたいけれど、響きにもこだわりたい」という初級〜中級者におすすめです。
ライプツィヒオーボエリード
今まではとにかく軽いタイプのものを買っていたけれど、物足りなくなってきた…という初心者~中級者の方におすすめの、ミディアムソフトのリードです。
息の通りがとてもスムーズで、無理なく吹くことができます。音色は明るめで柔らかく、コントロールもききやすいため大変扱いやすいのが特徴です。
主に学生さんに人気が高く、コンクール時期などは在庫切れに注意が必要です。
オーボエリードの使い方
使う前の準備
出したばかりのリードは乾燥しているため、そのまま吹くことはできません。
適当な容器に水を入れ、30秒~1分ほどリードをつけてください。
全体を濡らす必要はなく、ケーンの部分が水に浸かっていれば十分です。
その後、先端の開きを目視で確認します。
必要に応じて指で調整し、リードだけで音を出してみて、問題が無ければ楽器につけてください。
後片付け
使い終わったら、リードケースにしまいます。
たまに購入時のプラケースに入れたままの方がいらっしゃいますが、割れ欠けやカビの原因になりますので絶対にやめてください。
内部の汚れが気になる際は、チューブ側から水を流し入れ軽く洗います。
東急ハンズ等で販売されているシリンジ(理科実験用の注射器のようなもの)を用いると便利です。
リード清掃用の小羽を使っても良いですが、羽根の屑が内部に残らないよう注意してください。
オーボエリードの代用品は?
リードに使われている葦は天然素材のため、環境により状態が変化します。
本番のために高いお金を出してリードを買ったのに、当日雨が降ってダメになってしまった…という経験をしたことがある方も、少なくないのではないでしょうか。
近年そんな弱点を克服した、合成素材のリードが開発されています。
「レジェール」はレジェール社が開発した、ポリプロピレン製のリードです。
2015年に国際ダブルリード・フェスティバルで初めて発売され、大きな反響を呼びました。
樹脂リードの先駆けとも言うべき存在です。
一方「アルタ アンビポリリード」はシルバースタイン社が開発した、アンビポリマーという特殊素材で作られたリードです。
発音体は樹脂ですが、チューブは葦のケーンと同じコルクのものが使われています。
ナイフでの調整も可能で、より従来のリードに近い使用感となっています。
価格はいずれもお高めですが、リードケースに1本あればいざという時に安心です。
オーボエリードの自作方法は?
ここではリードの作り方の一例を、簡潔にご紹介します。
- 材をガウジングする:葦を割り、ガウジングマシンにかけて薄く加工します。加工前のものを丸材、加工後のものをかまぼこ材と呼びます。
- かまぼこ材をシェーピングする:材を半分に折って成形します。シェーピングマシンかシェーパーという器具を使う方法が一般的ですが、金属やすり等を使ってフリーハンドで行うこともできます。
- 糸を巻く:シェーピングしたケーンとチューブを組み、糸を巻きます。ケーンが割れないよう、糸巻きの前に焼き入れという工程を挟む人もいます。
- 先端をカットする:先端部分をナイフである程度薄くしてから、リードカッター等でカットします。この工程で、リードの開きが作られます。
- 削る:メイキングマシンやナイフを使って、リードを薄く削ります。
まとめ
リードは高いから品質が良い、安いから吹きにくい、といった単純なものではありません。
能力や楽器、好みに合ったリードを探すことも、オーボエの楽しみのひとつです。
上手に情報を収集して、良きオーボエライフをお送りください。
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