TANK!(タンク)、日本のアニメ『カウボーイビバップ』のテーマ曲で格好いい曲だと世界中で話題になりました。
そして、映画『ミッションインポッシブル』や『ティコティコ』といった軽快でリズミカルな音楽もご存じの方が多いと思いますが、こういった曲の中でカラカラと明るい音を奏でている楽器がボンゴです。
自分でも叩いてみたいと思い、安かったから実際に購入してみたら「子どものおもちゃだった」という残念なパターンは避けたいところ。
ボンゴは、元が民族楽器であるため手作り感が強くサイズも値段もとても幅広いので、今回は初心者におすすめのボンゴをご紹介いたします。
ビギナーズ向けの演奏方法も解説しているので参考にしてください。
ボンゴとは
ボンゴはカリブ海のキューバ周辺で発達したリズム「チャチャチャ」「ルンバ」「ボレロ」などのラテン音楽で使用されてきた民族楽器です。
クラーベ・コンガ・ギロなどと一緒にリズムサウンドを組み立てます。
初期のボンゴは大小二つの木をくりぬいた胴に水牛の革などを張っているもので、日本の鼓(つづみ)の音にも似ている楽器です。
ボンゴの小さいほうの太鼓をスペイン語で「マチョ(macho)」大きいほうの太鼓を「エンブラ(hembra)」と呼びます。
マチョは「マッチョな男性」というあのマチョでエンブラは女性を意味するのですが、イメージとは逆でマチョ(男性)が小さいほう、エンブラ(女性)が大きいほうの太鼓になります。
ボンゴの選び方
ボンゴを選ぶうえでいくつか注意したい点がありますので、代表的なものを挙げました。
- マチョのサイズで選ぶ
- 換えのヘッドがあるかどうかで選ぶ
- シェル(胴)の素材で選ぶ
- 重さで選ぶ
マチョのサイズで選ぶ
ボンゴはマチョのサイズで選ぶのがおすすめです。
手の親指の根元から指先までの長さを基準にし、マチョのヘッド直径が親指の長さよりも少し長いものが叩きやすいでしょう。
しかし、ヘッド直径が長すぎると太鼓のサイズが大きくなってしまい高音が出しにくくなりますので注意が必要。
ラテン系の音を出したい場合はマチョが小さめ、フュージョンやロックで使うなら大きめのボンゴがおすすめです。
換えのヘッドがあるかどうかで選ぶ
ボンゴには、たいてい本革のヘッドが張られています。
大切に使えば何十年ももつものですが、使用環境や使い方によっては1日で破れることもあります。
ボンゴのヘッドは同じサイズでも形状が違うのでシリーズ専用のヘッドが売られていますが、ヘッドは99%輸入品ですので入手困難な場合が多いのです。
ですから、ヘッド交換を心配される方は、ボンゴ購入時に交換ヘッドが入手できるものなのか確認したほうがよいでしょう。
また、REMOのニュースキンというプラスチックヘッドがありますが、こちらはすべてのボンゴに使えるわけではありませんが、甲高い音をパンパンと手軽に出したい方はにはおすすめです。
シェル(胴)の素材で選ぶ
ボンゴのシェルはほとんどが木製で、木の材質によって値段が変わってきます。
また、木製だと倒れた場合に割れることもあります。
グラスファイバーという頑丈で重い素材で作られているものもあるので、ご自分の使用環境に合わせて購入するのも一つの方法です。
重さで選ぶ
ボンゴの重さは標準サイズで2キロから10キロ程度とかなりの幅があります。
持ち運びが多く重さを気にされる方は、購入前にチェックをしたほうがよいでしょう。
大小さまざまありますが、イメージとしてはボウリングボールぐらいの重さになります。
ボンゴおすすめ7選
キクタニBG10
- マチョの打面:15センチ
- 重量:約2250グラム
- 高さ:17センチ 横40センチ
- センターブロック:高さ57ミリ 横65ミリ 厚み41ミリ
キクタニは日本のメーカーです。
こちらのボンゴには本革ヘッドが張ってあり、シェル(胴)はバーチという強度や耐水性の高い材質を使っています。
キクタニのボンゴは、マチョが小径なため高音が出やすく軽やかでボンゴらしい音を容易につくれます。
打面はフープより持ち上がっているタイプなので、アクセント奏法で間違ってフープを打つこともなく痛い思いをしません。
初心者に使いやすいボンゴでしょう。
6.5インチというヘッドはほとんど市販されていませんので交換ヘッドを探すのは困難です。
ヘッドを破らないように大切に使いましょう。
LPCP Traditional Bongos CP221AW
LP社のボンゴには比較的厚めの本革ヘッドが張ってあります。
こちらCP Traditionalは普及版として販売するためにシェルの素材が少し安価な材料を使っています。
しかし、さすがLP製品、しっかりと頑丈につくっていますので安心して使うことができます。
こちらは、マチョのサイズが6インチと小さく高音を出しやすいのでオーソドックスなラテン系の音楽に向いています。
LPCity Wood Bongo LP601NY-AW
- 6インチ/7インチ
- ヘッド:本革
- ラグ:直径 9.32インチ
City Woodの胴(シェル)はSiam Oak(サイアムオーク)材を採用しています。
軽量でインチが小さいので、こちらも高い音が出ます。
CP Traditionalより1段上質の素材を使用しているので締めネジの素材も頑丈になります。
予算に余裕がある場合は、こちらのCity Wood のほうがおすすめです。
TraditionalとCity Seriesは見た目がよく似ておりサイズも同じインチですが、ヘッド交換するときは注意が必要です。
それぞれ専用のヘッドでないと使えません。
LPAspire LPA601
6.75インチ/8インチ
Aspireのシェルは、窯で乾燥させたSiam Oak材のナチュラルウッドを使用しており柔らかで高級感のある音が出ます。
スローテンポな曲やボーカルなどのバックで演奏するときに、よいかもしれません。
City Woodとの違いは、マチョとエンブラのサイズ幅が大きいことです。
これにより高低差がつけやすく、チューニングしやすいボンゴです。
マチョのヘッド Aspire用 LPA663A
MEINL ( マイネル )Headlinerシリーズ ウッドボンゴ HB100WRB
- 6.75インチ/8インチ
- ワインレッド(色展開あり)
MEINL Headlinerシリーズ のシェルもSiam Oak材を採用しています。
マイネルはドイツのメーカーで、こちらのボンゴは米国LP社製のボンゴに比べて薄めの革が張ってあります。
LP Aspireより高い音が出ますが、使い方によってはヘッドが破れやすいかもしれません。
こちらのボンゴにはニュースキンヘッドが装着できます。
カンカンと高音でバリバリ演奏したい方には、このMEINL Headliner HB100WRBがおすすめです。
ヘッドをニュースキンに張り替えてたたくのがよいでしょう。
マチョのヘッド REMO M6-S675-N1 ニュースキン(プラスチック製)
TOCAPlayer’s Series 4070BK ボンゴ Black
- 7インチ/8.5インチ
- 材質 :グラスファイバー
- ヘッド:上質な牛革
- 商品寸法(長さ49幅22.4高27.9センチ)
- 商品の重量 21 ポンド(9.5256kg)
Player’s Seriesは初級から中級者向けの、重厚感のあるボンゴです。
シェルは木製ではなくグラスファイバーという工業繊維で作られており重いです。
繊細な演奏からパワフルな音量も可能となるので、あらゆるジャンルに対応できるボンゴです。
マチョのヘッド TOCA TP27007
TOCATraditional Series 3900-T
7インチ / 8.5インチ
Traditional Series 3900のシェルは2層のアッシュオークシェルを採用しています。
音抜けがよくマチョとエンブラの口径差が大きいのでチューニングできる音の幅が大きいです。
こちらは、シェルとフープの高低差がわりと低めなので、ハンドで打つよりもドラマーなどスティックで打つのに適しているかもしれません。
マチョのヘッド Traditional Series 3900専用
TP-37007 https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/242098/
楽器を演奏する前の注意点
初心者の方は、まず新品のヘッドをあまり締めないでください。
音は低いですが、そのまま使ってもよいぐらいです。
ボンゴをたたきこみ、革に手の脂が少しなじんだぐらいから徐々に締めていくほうが安全です。
ヘッドは締めたままの状態ですと、乾燥や温度差により破れてしまうことがあるため、必ず使用後はゆるめましょう。
ボンゴの演奏方法
この記事では右利きの人を想定して書いていきますので、左利きの方は表示の左右を逆に考えてください。
- ボンゴの向きはマチョが左側にくるようにする
- 打面の角度は平ら・前下がり・前上がりどれでもよいが、ボンゴを足の間に挟んで座って叩きたいので伝統的な構え方は前下がり
ボンゴの基本的な叩き方
ボンゴの基本的な叩き方は、指をスティックのように考えると分かりやすいでしょう。
- 両手それぞれ人差し指だけでマチョを叩く
- 叩く場所はヘッドの手前、フチ寄りの位置を人差し指で右左交互に叩く
1、2、3、4、5、6、7、8。
右、左、右、左、右、左、右、左という感じです。
コ、コ、コ、コ、コ、コ、コ、コという音がなります。
次に、7の音だけエンブラをたたいてみましょう。
これもすべて右左交互にたたきます。
コ、コ、コ、コ、コ、コ、ポ、コという音になり、これを仮にAパターンとします。
今度はAパターンの1と4にアクセントをつけます。
ケ、コ、コ、ケ、コ、コ、ポ、コという音になります。
このアクセント付きAパターンを繰り返すだけで、もうラテン曲が演奏できてしまうのです。
またアクセントの位置を変えるとアレンジができます。
例えば、1、4、6にアクセントをつけるとケ、コ、コ、ケ、コ、ケ、ポ、コと楽しいサウンドになるでしょう。
人差し指だけで、たたく方法は初心者っぽく見えますが実はクリアで抜けのいい音が出る最適な方法でもあります。
ボンゴを手で叩く場合
パワフルな演奏をしたい、ノリノリでたたいてみたいという場合には手でたたく奏法もあります。
手の平でペタペタとたたくとよい音は出ませんが、中指の腹でムチのように「しなり」をきかせてたたくと格好いいサウンドになります。
指でたたく場合もハンドでたたく場合も、力を入れず肘から指までが自然に動くことを意識しましょう。
肩に力が入らないように鏡を見て練習するのもおすすめです。
ボンゴのヒール&トゥ奏法
ヒール&トゥ奏法を使えば、1個の太鼓から複数の音色を出すことができるので演奏のレベルがぐっと上がります。
- ヒール=かかと
- トゥ=つま先
手の平を足のようにイメージしてたたいていきます。
まずマチョの上に左手を置いてください。
自然な状態で指が曲がっていると思いますが、親指をヘッドにつけた状態で、まっすぐピンと伸ばしましょう。
次に、親指以外の残り4本の指をそろえて高く持ち上げます。
「ハイ」と手を挙げるときの感じです。
この時に親指の根元は離れてもよいですが、指先はまだヘッドにつけておいてください。
そこから今度は、そろえた4本の指で「トゥ!」とヘッドをたたきます。
その反動で親指を離しましょう。
最後に親指の側面でヘッドをたたきます。
このときは4本の指が先に離れても大丈夫です。
この動きはタップダンスをするときの「ヒール、トゥ、ヒール、トゥ」あのイメージです。
これがボンゴにおけるヒール&トゥ奏法です。
ヒール&トゥ奏法を使ったパターン
では、ヒール&トゥ奏法を使ったベーシックなラテンパターンを紹介しましょう。
両手とも最初はマチョをたたきます。
左手の動きは1、3、5、7。
ヒール、トゥ、ヒール、トゥです。
右手の動きは2、4、6を軽くたたきましょう。
1、2、3、4、5、6、7。
ヒール、コ、トゥ、コ、ヒール、コ、トゥとなります。
そして最後8個目だけを右手でエンブラをたたきます。
1、2、3、4、5、6、7、8。
ヒール、コ、トゥ、コ、ヒール、コ、トゥ、ポ。
これを繰り返して速くたたけるようになると、いろんな曲が演奏できるようになります。
少し難しいパターン
格好いい演奏をしたい、という人のために少し難しいパターンもご紹介しましょう。
前半パターンAと後半パターンBに分けて説明します。
前半パターンA。
右手から始まり、すべて交互にたたきます。
ポはエンブラ、それ以外は全部マチョをたたいてください。
1、2、3、4、5、6、7、8。
ポ、コ、コ、コ、コ、ヒール、パ、トゥ。
初めて「パ」が出てきましたね。
「パ」は、左手でヒールをしながら右手でたたくのでアクセント音になるのです。
「パ」は強くたたくことを意識しましょう。
後半パターンB。
1、2、3、4、5、6、7、8。
コ、コ、ポ、ポ、ポ、ポ、ポ、コ。
6と8にアクセントをつけると格好いいです。
6と8は左手になるので少々練習が必要かもしれません。
前半パターンAと後半パターンBが、それぞれ何度繰り返しても止まらずにたたけるようになるとAとBを続けて演奏しましょう。
1、2、3、4、5、6、7、8。
1、2、3、4、5、6、7、8。
ポ、コ、コ、コ、コ、ヒール、パ、トゥ。
コ、コ、ポ、ポ、ポ、ポ、ポ、コ。
6と8のアクセントを忘れないようにしましょう。
まとめ
赤ちゃんでも触れば「ポン」と音が出るボンゴですが、さまざまなジャンルの音楽に使用できる汎用性の高い楽器です。
パターンを幾つか習得すれば、フィルインやボンゴソロに挑戦するのもよいでしょう。
楽しみながらボンゴに触れ演奏の幅を広げてみてくださいね。
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