楽器屋のエフェクターコーナーなどでここ数年、ブースターと呼ばれるエフェクターが並んでいるのを目にする機会が増えました。
実は深い歴史のあるブースターですが、2000年以降その重要性や必要性が見直され、現在ではかなりの種類のブースターが様々なメーカーから発売されています。
しかし、ブースターには機種によって様々な特徴があるため、どれを選んでよいのか悩んでしまう方も多いことでしょう。
この記事ではそんなブースターエフェクターについて解説しつつ、その役割や置く位置、さらにはおすすめ10選まで紹介していきます。
ブースターエフェクターとは
ブースターエフェクターとは、ギターのサウンドをブースト(増幅)させるものですが、繋ぐ順番(置く位置)やセッティング、機種ごとの特徴によって様々な役割を担います。
また、ブースターと言ってもサウンドを全体的にブーストさせるものもあれば、ミッド(中音域)ブースターやトレブル(高音域)ブースターのように、特定の帯域を中心にブーストさせるものなどさまざま。
他の種類のエフェクターで似たような効果を得ることも可能ではありますが、昨今ではブーストに特化したエフェクターも増えたことにより、ブースターの必要性がが高まってきています。
ブースターエフェクターを使うメリット
ノイズ対策になる
ブースターを使用することでエフェクターに内蔵されたバッファ回路を通ることになりますが、これにより音信号のインピーダンス(抵抗)をハイからローに下げる(変換する)効果があります。
ハイインピーダンスからローインピーダンスに変換することでギターのサウンドを音痩せが少なく、ノイズに強い信号にすることが可能になるということです。
そのため、必要な時に踏むだけでなくギターの直後に繋いで常時ONにしておく、といった使い方も昨今ではメジャーな使用方法となっています。
この使い方にについては後ほど詳しく解説していきます。
特定の帯域を強調できる
ブースターには特定の帯域をブーストさせる機種も存在します。
例えばミッドブースターの場合、リードやソロ時に掛けることでギターの美味しい帯域が上がり、サスティンの効いた伸びやかなリードサウンドにすることが出来ます。
トレブルブースターの場合、例としてバッキングやカッティング時に掛けることで音の抜けを良くする効果があります。
帯域を持ち上げるだけであればイコライザーでも代用は可能ですが、前述したとおり信号自体に良い影響を与える場合もあることから、ブースターの使用がおすすめです。
ブースターエフェクターを使うデメリット
ノイズの原因になる場合がある
ブースターを使うメリットとしてノイズ対策になる点を揚げましたが、逆にブースターを使うことでノイズの原因になってしまう可能性もあります。
なぜなら、エフェクターには機種によって相性があり、この相性が悪い場合、逆にノイズを発生させてしまうケースも存在します(ブースターだけが原因とはいえません)。
純粋なクリーンブースターであればそこまでノイズが発生することは少ないですが、歪みをプラスするゲインブースターの場合、この事象が発生する可能性が高いので注意が必要です。
エフェクターボードを圧迫する
ブースターのみに限らずエフェクター全般に言える事ですが、導入することで当然ながらその分エフェクターボードのスペースが必要になります。
バッファとして使用する場合はギターの直後、つまりエフェクターボードの右上に設置するケースが多いので、設置場所も限られることから人によっては注意が必要です。
ただ、ブースターエフェクターの多くはコンパクトサイズのものが多く、後述するおすすめの中には更に小さいミニサイズのものも含まれています。
そのため、余程スペースに余裕のないボードでなければそこまで大きなデメリットとは言えないでしょう。
ブースターエフェクターの選び方
ブーストの種類
前述してきたとおり、ブースターには様々な種類が存在します。
- 全体をそのままブーストしたい:クリーンブースター
- 特定の帯域を持ち上げたい:ミドルブースターやトレブルブースター
などです。
自分が使いたいシーンによってブースターの種類も選ばないといけないので、まずは自分がブースターに求めているものをはっきりさせておきましょう。
OFF時の回路について
エフェクターとは基本的にはONにした際、音に変化を与えるものになります。
しかしエフェクターの機種によっては、OFFの状態であっても繋いでいるだけで音が変化するものもあります。
これはOFFのときであってもエフェクトの回路を通ることから起こる事象で、人によってはONの時にだけ音に変化を与えたい方もいることでしょう。
もしそういった場合は、トゥルーバイパスと呼ばれるエフェクターがOFFの際はエフェクト回路を通さない機種をおすすめします。
他のエフェクトの搭載について
この後おすすめしていく中にも含まれていますが、ブースター単体だけでなく他のエフェクトも一緒に搭載されている機種も存在します。
一緒に搭載されているということは、併せて使うことを想定した仕様となっているということ。
例えばブースターの他にオーバードライブが搭載されている場合はドライブさせたサウンドをブーストしたり、逆にオーバードライブの歪みの量を増やしたりなど一台で様々な使い方をすることが可能です。
自分のニーズにあったエフェクターが一緒に搭載されている場合は、そこも選ぶ際の基準にしても良いでしょう。
ブースターエフェクターおすすめ10選
StrymonCOMPADRE
ハイエンドエフェクターでかなりの高評価を得ているStrymon社製のブースターで、コンプレッサーが一緒に搭載されていることが大きな特徴です。
ブースト自体はつまみが1つであったり、ブーストする帯域を3セレクタースイッチで選択できるなどシンプルな造りとなっていることから直感的な操作が可能。
ブースターには珍しく、エクスプレッションペダルを繋げる端子やMIDIも搭載されているため、きっちりと組み込まれたエフェクターボードの最前段に設置するのにおすすめします。
ブースター エフェクター を置く位置
次にブースターの置く位置とその場合の効果について解説していきます。
解説する内容はあくまで一般的な使い方ですので、他の効果を狙うのであれば必ずしもこの限りではありませんのでご注意ください。
ギターの直後
ギターの信号はブースターを通すことで一部例外を除き、内蔵されているバッファと呼ばれる回路を通ります。
このバッファ回路を通ることでハイインピーダンスの信号がローインピーダンスに変換されるのですが、このローインピーダンスはノイズに強いという性質を持ちます。
ギターの信号はエフェクターなどの回路を通ることにより少なからず音痩せという事象が発生するのですが、ギター直後(エフェクターボードの最前列)に設置しておくことで、この音痩せをある程度防止することが可能。
多くのエフェクターやシールドの代わりにワイヤレスを使用している場合、このノイズ対策はかなり重要となってきます。
ギターの直後ということでエフェクターボードの右上に設置するパターンが多いので、エフェクターボードへ組み込む際はこの点も留意しましょう。
歪みエフェクターの前段
歪みエフェクターの前段にブースターを接続することでそのエフェクターのゲイン(歪み)を深くすることが出来ます。
ブースターのON/OFFで歪みの量が変わるため、曲中で歪みの量をコントロールしたい場合はこの繋ぎ方になるでしょう。
また、ミドルブースターやトレブルブースターのように特定の帯域をブーストさせる場合も、基本的には歪みエフェクターの前段に繋げることになります。
歪みエフェクターの後段
逆に歪みエフェクターの後段にブースターを接続することで音量を上げることが出来ます。
歪みの量を上げることなく音量を上げたり音を太くできるので、主にギターソロの時によく使う方法になります。
注意点としてブースター自体の歪みが多い場合、前述したように歪みが増えすぎてしまう可能性があるので、ブースターの特性を理解したうえで使用するようにしましょう。
アンプのセンド・リターン
エフェクターの前後で効果が変わるとお伝えしてきましたが、ブースターはアンプとの相性も抜群なものが多いです。
アンプのセンド・リターンに繋げることでアンプで作ったサウンドをブーストさせることができます。
これによりアンプ自体の音を生かしたまま、音をブーストさせることができるのでアンプ自体のサウンドが気に入っている場合は一度試してみることをおすすめします。
ブースターエフェクターの使い方
ゲイン(歪み)を0(または最小値)にする
ゲイン(歪み)を0または最小値にすることで音を歪ませることなく音量を上げたり、音を太くしたりすることが出来ます。
前段で解説しましたが、俗に言うバッファと呼ばれる効果で、ギターの音を変えることなく音を良くしたい場合はこの使い方がおすすめ。
ただ注意点としてブースターによってはゲイン(歪み)を0にしてしまうと音がでなかったり限りなく小さくなってしまう場合もありますので気を付ける必要があります。
トレブルブースターをクリーンやクランチサウンドで
トレブルブースターは名前のとおりハイ(高音域)をブーストさせるものです。
ハイ(高音域)をブーストさせると単純に音の抜けがよくなるのですが、この抜ける感じがクリーンやクランチサウンドとも相性が良いです。
そのためアルペジオの際に、音を煌びやかにさせる目的で使うのも良いでしょう。
注意点としてハイの抜けが良いということは一歩間違えると耳に痛い音になりがちなので、ストラトやテレキャスのようにもともとハイ成分が強いギターの際はそこまで強くかける必要はありません。
ミドルブースターでギターの音を太く
ギターにおいてミドル(中音域)はギターサウンドにおける芯の部分となります。
ミドルを上げることによりギターの音がぐっと前に出てくるため、アンサンブルの中でもギターを強調したい場合は、ミドルブースターをうっすら掛けておくこともおすすめです。
その他にもギターソロやリード時にがっつりかけることで、さらにギターの音を強調させることが出来ます。
ブースターエフェクターの代用品は?
ブースターの代用品としてオーバードライブペダルがよく挙がります。
オーバードライブが比較的歪みが少ないエフェクターなので、歪みの量を調整することによりクリーンブースターやゲインブースターとして使用することもできます。
むしろ敢えてオーバードライブエフェクターでブーストさせる人も多く、自分の好みに合わせて使い分けしても良いでしょう。
また、先ほど紹介したTubeScreamerMiniは特徴として、僅かにミドルもあがるため、現在もミッドブースターとして使用するプレイヤーが多いです。
注意点として、オーバードライブをブースターの代用品として使用することも可能ですが、オーバードライブエフェクターを名乗っていても、ほとんどディストーションと呼べるくらい歪みが多い機種も存在します。
その場合、GAIN(歪み)のつまみをぎりぎりまで下げてもある程度歪んでしまう場合もありますので、クリーンブースターとして使用したい場合には不向きです。
ブースターエフェクターの自作方法は?
ブースターエフェクターはある程度回路もシンプルですので、エフェクターの知識や技術がある方であれば自作も可能です。
現在ではエフェクターの自作キットも数多く発売されており、特に歪み系はそのラインナップもかなり豊富になっています。
自作キットの場合、名器と呼ばれるエフェクターをモチーフにした商品も多いので、どの自作キットを買うべきか悩んだ際はモチーフにしたエフェクターのサウンドを参考にしてみましょう。
ケースやパーツ、回路図を一から用意して自作するのは初心者の方にはかなりハードルが高いので、とりあえず自作したい方にはこの自作キットはかなりおすすめです。
まとめ
通常の歪み系やモジュレーション系、空間系と比べると少々地味な印象のあるブースターですが、原音を大事にするギタリストほどその重要性に気が付くことでしょう。
ブースターのクオリティはそのままギターサウンドのクオリティに繋がると言っても過言ではありません。
「ブースターエフェクターを取り入れて演奏してみたい」とお考えの方は、今回ご紹介したおすすめ中から自分好みのブースターエフェクターを選び、導入してみることをおすすめします。
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