オーボエの魅力の一つに、表現の多彩さがあります。
独特の音色は時には明るく陽気に、また時には哀愁たっぷりにと、曲により様々な表情を見せてくれます。
そのため古今東西を問わず多くの作曲家から愛され、数々の名曲が生み出されてきました。
今回はオーボエのかっこいい曲を、ソロから始まる曲やメロディラインが印象的な曲からご紹介いたします。
多くの方が耳にしたことのある有名な曲から、ポップス、クラシックまで幅広くご紹介いたします。
目次
オーボエのかっこいい曲とは
オーボエのレパートリーはソロ曲だけではありません。
他楽器とのアンサンブルの中で奏でられるソロも、オーボエの良さを存分に引き出してくれます。
編成にオーボエを含む曲はクラシックや映画音楽、ポップスなど様々なジャンルで存在しており、数々の素晴らしいソロフレーズが作曲されています。
オーボエのために書かれた曲だけでなくこうしたオーボエが「おいしい」曲も、オーボエのかっこいい曲について語るためには重要な存在です。
オーボエのかっこいい曲の選び方
有名な曲から選ぶ
街で流れている曲にふと耳を傾けてみると「オーボエの音が聞こえてきた」という経験はありませんか。
オーボエが活躍する曲の中には、一般的に有名な曲が多くあるのです。
たとえオーボエという楽器を知らなかったとしても「このフレーズなら知っている!」ということもあるでしょう。
こうした曲は、オーボエの魅力を広く認知してもらうための大切なレパートリーとなってくれます。
美しいソロのある曲から選ぶ
オーボエの音は、他の楽器と共に演奏していても埋もれることなくまっすぐに聴き手へ届いてくれます。
そのためジャンルを問わずさまざまな曲中で、ソロを多く担当している楽器です。
ソナタやコンチェルトなど、元々オーボエが主役である曲ももちろんかっこいいのですが、アンサンブルの中でスポットライトが当たった時のかっこよさはまた格別です。
楽器に合った曲から選ぶ
オーボエだけに限らないことなのですが、楽器には美しく歌える音域というものが存在します。
これは実際に演奏「可能」な音域よりも、高音低音ともに狭くなる傾向にあります。
この音域から外れた音は、響きが細くなったり不安定になったりすることがほとんど。
もちろんその不安定さを利用したかっこいい曲も多々存在しますが、音域から外れた音があまりにも多いと楽器の良さを発揮しきれないかもしれません。
オーボエのかっこいい曲おすすめ10選
ウィンズスコア風笛~あすかのテーマ~[オーボエソロ・フィーチャー]
1999年に放送されていたNHK連続テレビ小説「あすか」でオープニングテーマとして使われていた曲。
オーボエのポップスといえばこれ、と言って良いほど有名です。
演奏を宮本文昭氏が担当していたこともあり、視聴者のみならずオーボエ奏者の間でも当時大きな反響を呼びました。
原調はH-dur(ロ長調)とオーボエで吹くには少々難しめですが、それでも挑戦してみたいと思わせてくれるような魅力ある曲です。
ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングスチャイコフスキー: 組曲「白鳥の湖」 作品20/スタディ・スコア
ロシアの作曲家ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーによる、非常に有名なバレエ音楽です。
オーボエといえばこの曲を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
劇中ではオーボエが多く活躍しますが、特に有名なのは第2幕の「情景」冒頭のソロです。
ハープの伴奏に乗せて歌われる物悲しい「白鳥のテーマ」が、聴く人の心を強く揺さぶります。
Alphonse Leduc】楽譜 ラヴェル/ハバネラ形式の小品 【Oboe&Piano(AL24861)
「ボレロ」や「亡き王女のためのパヴァーヌ」などで有名なフランスの作曲家、モーリス・ラヴェルによる作品です。
元は声楽のために書かれた曲ですが、その甘やかで美しい旋律が評価され、さまざまな楽器によって演奏されています。
特にオーボエにとっては音域がちょうど良く、音色もこの曲が持つ雰囲気に非常に合っています。
演奏会などで用いると、短い時間でかっこよく映えてくれる一曲です。
全音楽譜出版社ISR(オーボエ) シューマン 3つのロマンス 作品94 オーボエとピアノのための
ドイツの作曲家ロベルト・シューマンによって書かれた作品です。
彼の妻でありピアニストでもある、クララ・シューマンへのクリスマスプレゼントとして作曲されたといわれています。
全3曲からなる構成ですが、どの曲も耳に残りやすい旋律となっています。
特に第2番の明るくて温かい、しかしどこか陰のある曲調は非常に印象的です。
ムジカ・ララ出版マルチェロ : 協奏曲 ニ短調 (オーボエ、ピアノ)
17-18世紀にイタリアで活躍した作曲家、マルチェロによるオーボエ協奏曲。
第2楽章が1970年のイタリア映画「ヴェニスの愛」で使われたことで有名です。
最近ではフィギュアスケートの宇野昌磨選手が演技のため使用したことでも話題になりました。
バロック期のオーボエを語る上では外せない名曲であり、多くの名演奏が録音や映像で残されています。
ミュージック・セールス社モリコーネ:ガブリエルのオーボエ(ピアノソロ, またはオーボエとピアノ)/ミュージック・セールス社/オーボエとピアノ
イタリアの映画音楽の巨匠、エンニオ・モリコーネによって作曲されました。
1986年公開のイギリス映画「ミッション」にて、主人公のガブリエルが密林の中で手作りのオーボエを吹くシーンに使われています。
まるで歌曲のように伸びやかで郷愁を誘う旋律は、一度聴いたら忘れられないインパクトを持っています。
ヘンレ社モーツァルト: オーボエ協奏曲 ハ長調 (フルート協奏曲 第2番 KV 314に基づく)/ヘンレ社原典版/オーボエとピアノ
モーツァルト作曲のオーボエ協奏曲は、オーボエ吹きであれば誰でも知っていると言っても過言ではありません。
以前よりコンクールなどで頻繁に演奏されてきましたが、「のだめカンタービレ」で使われたことがきっかけで一般にも広く知られるようになりました。
特に1楽章のオーボエソロ冒頭、鮮烈なC-durスケールの駆け上がりはあまりにも有名です。
(株)ミュージックエイト】[楽譜] とっておきのソロ(オーボエ) 海の見える街【オーボエ ソロ(SDOB6ウミノミエルマチ)
とっておきのソロ(オーボエ) 海の見える街【オーボエ ソロ】(SDOB6ウミノミエルマチ)"]
久石譲氏により作曲された、1989年公開のジブリ映画「魔女の宅急便」の挿入曲です。
故郷を旅立ったキキが、辿り着いた街を箒の上から眺めているシーンで使われています。
劇中演奏を担当しているのはオーボエ奏者の石橋雅一氏。
同氏の洗練された音色と、映画の舞台である港町を彷彿とさせるようなシンプルでお洒落な旋律が印象的です。
ブージー & ホークス社ブリテン : オヴィディウスによる6つのメタモルフォーゼ Op.49/ブージー & ホークス社オーボエ楽譜
イギリスの作曲家ベンジャミン・ブリテンによって、オーボエのために書かれた無伴奏の曲です。
6つの曲はそれぞれ「PAN」「NARCISSUS」といったギリシャ神話の神々の名がつけられており、その神をモチーフにして作曲されています。
曲そのものが美しいのはもちろんのこと、物語と照らし合わせることでより深く楽しむこともできる作品です。
ALPHONSE LEDUCコラン : コンクールの独奏曲
シャルル・コランは、19世紀にパリ音楽院で教授を務めていたオーボエ奏者です。
「Solo de concours」と題された一連の曲は音楽院の試験曲として作曲されました。
どの曲も緩急の展開がはっきりしていて、オーボエのエッセンスがぎゅっとつまった作品となっています。
特に有名なのはドラマチックな出だしが特徴的な第1番ですが、胸に沁みる音選びが魅力的な第8番もおすすめです。
オーボエ奏者におすすめのCD
名曲とされる作品は、多くの名手によって演奏されています。
演奏会等の生演奏はその場限りのものですが、録音として残されていれば時や場所を問わず何度でも楽しむことができます。
ここではオーボエ奏者ならぜひ聴いてほしいおすすめのCDを3つご紹介します。
【ユニバーサル ミュージック クラシック】モーツァルト&R.シュトラウス:オーボエ協奏曲
アーティスト:ホリガー(ハインツ), 演奏:ホリガー(ハインツ), 演奏:ニュー・フィルハーモニア管弦楽団, 指揮:ワールト(エド・デ), 作曲:R.シュトラウス
ポチップ オーボエ協奏曲は多く作曲されていますが、有名なものはどれかと聞かれればほとんどの人がモーツァルトかリヒャルト・シュトラウスの作品を挙げるでしょう。
それらが2曲が一度に楽しめる贅沢なCDです。
奏者は国際的に著名なオーボエの名手で、指揮者・作曲家としても知られているハインツ・ホリガー。
曲への造詣の深さを感じさせる饒舌な演奏は、耳に楽しいだけでなくオーボエ奏者にとって非常に勉強になります。
【キングレコード】オーボイッシモ! / オーボエの祭典 ~スーパー・オーボエ・ライヴ!
ポチップ 2001年12月に行なわれた、総勢16名によるライブ演奏の模様を収めたCDです。
オーボエ奏者が一堂に会してアンサンブルをするというだけでも驚きですが、特筆すべきはメンバーの豪華さです。
宮本文昭氏をはじめ古部賢一氏や広田智之氏、蠣崎耕三氏ほか第一線で活躍する奏者たちが名を連ねています。
このCDでしか聴くことのできない、特別な響きをぜひお楽しみください。
【Oboe Classics】The Oboe on Record 1903-1953
ポチップ 最後に、少し変わり種をご紹介します。
こちらはジョルジュ・ジレやマルセル・タビュトーといった、歴史に名を残すオーボエ奏者たちの当時の録音が収録されたCDです。
収録年が1903年から1953年ということもあってさすがに音質は粗いですが、それを補って余りあるほどの学術的価値を有しています。
現代とは少し異なる当時の音色や音楽解釈を知ることができる、非常に貴重な一枚です。
まとめ
オーボエの曲や名演奏について知ることは、長くモチベーションを保つ上でも大切です。
いつかこの曲を吹いてみたい、という思いは日々の練習に張りを与えてくれることでしょう。
ぜひたくさんの曲に触れて、自分だけのお気に入りを探してみてください。