- 複数の楽器から構成されるドラムセットの中でも一番大きさが大きく、迫力のある音を奏でるバスドラム。
他の楽器と大きく違うのは足を使って演奏されるという特徴にあるでしょう。
そこで今回は、そのバスドラムを操作するのに必要なドラムペダルを紹介します。
ドラムペダルを用いてどのようにバスドラムを鳴らすか、そしてマイペダルを持つことのメリット・デメリット、そして初心者におすすめのドラムペダルを紹介していきます。
既にペダルを持っているけど、買い替えも検討しているという方にも参考になるような商品紹介に仕上げていますので、ぜひ最後までお付き合いください。
ドラムペダルとは
まずドラムペダルとは、ペダルの名の如く、足で操作し、バスドラムを鳴らすためのハードウェアのことを指します。
ドラムペダルが音を鳴らす仕組みについてまず大切なのが、「カム」と「ビーター」と「スプリング」です。
地面から約45度ほど傾くように設計されたプレート部分を踏むことでペダルの「ストラップ」と呼ばれるチェーンやベルトが引っ張られ、「カム」と呼ばれる部分が回転するような構造になっています。
そのカムが回転することで、カム部分に取り付けられた「ビーター」がスティックのような役割を果たしてバスドラムの表ヘッドへヒットし、バスドラムは音が出ます。
ただ、バスドラムにビーターがくっついたままになっていては、もう一度バスドラムを叩くことはできません。
これを解決するために「スプリング」があります。
バスドラムを叩く際にこのスプリング部分が伸びますが、このバネが縮む力を利用して、ビーターが戻ってくる訳です。
このように複雑な動きを一音出す度にしているのがドラムペダルです。
そのため、様々な要因が絡んで踏み心地が変わってくるので、初心者の方でも気兼ねせず、色々試してから自分に合ったものを購入することをオススメします。
自分のドラムペダルを使うメリット4選・デメリット3選
メリット
どこでもほぼ同じ感覚でプレイできる
ドラムペダルは自分の足に直接触れる機材です。
そのペダルで、リズムにおいて非常に重要な役割を果たすバスドラムを演奏することとなります。
バスドラムはリズムの根幹を担うと言っても過言ではない非常に重要な役割を果たすため、演奏の安定感が最優先事項です。
ですので、自分のドラムペダルを持つことで、どこでもほぼ同じような感覚で演奏できるようになり、それは安定感に繋がります。
イメージとしては毎回毎回演奏ごとにスティックを変えるよりも、同じスティックを使った方が違和感なくプレイ出来ることに近いでしょう。
自分の身体に直接触れる機材であるだけに、感覚の違いは非常に顕著に現れます。
「初心者でドラムペダルをいきなり購入するのは・・・」と思うかもしれませんが、むしろ安定した演奏に近づくために初心者の方こそドラムペダルを購入するべきです。
自分で調整、カスタマイズが出来る
前述した通り、ドラムペダルは非常に複雑な動きをしており、調整箇所なども多いです。
スプリングの張力、フットボードの角度、ビーターの長さ等、少しでも変えると踏み心地がガラッと変わります。
色々と悩むといった側面があることは否めませんが、それぞれに調整ヶ所がついており、自分の扱いやすいようにカスタマイズすることが可能です。
備え付けのものを調整することも良いですが、どうしても時間がかかってしまいます。
自分のペダルを持てば、その手間も無くなり、すぐに自分にフィットした感覚のペダルで演奏することが出来ます。
自分で調整したドラムペダルと共に成長するという感覚にもなるので、購入したらぜひ色々と調整してみると良いでしょう。
現場でのトラブルが減る
スタジオやライブハウスの備え付けのドラムペダルを使用することも出来るので、マイペダルはいらないのではないかと思われますが、そんなことはありません。
備え付けのペダルは様々な人が使用するため、パーツなどの消耗も早く、ガタが来ていることも少なくありません。
特にドラムペダルは持ち込む人も非常に多いので、手入れがあまりなされていないというケースもよくある話です。
演奏中にトラブルに見舞われてしまえば、リズムの根幹を担うバスドラムのサウンドにも影響が出るので、絶対に避けるべきトラブルです。
そこでマイペダルを購入し、普段から手入れを確実に行うことで、そのようなトラブルを起こす確率はグッと減ります。
上級者であれば致命的なトラブル以外では演奏を続けることも可能ですが、初心者の方ですとパニックになってしまうこともあるため、やはりマイペダルを購入することで、心理的な安全も買うことが出来るのもメリットです。
マイペダルと共に練習台を購入することで自宅練習が可能
ドラムという楽器は特性上、自宅での練習がほとんど出来ない楽器です。
電子ドラムも普及していますが、値段が非常に高価という側面もあります。
そのため、近年キック用の練習台のラインナップも非常に充実してきました。
そのキック用の練習台で練習するために、マイペダルを購入することで、自宅などでも練習することが可能です。
バスドラムは他の楽器と違い、手よりも不器用な足で演奏するため、非常に難しい楽器であり、特に初心者の方はバスドラムの演奏が弱点になっていることが多いです。
自宅などでも練習しておくことで、他の人とは一線を画すドラマーとなることが出来るでしょう。
自宅で練習する際は、防音防震対策は必須になりますので、そこだけは要注意です。
デメリット
違うドラムペダルを扱う際に応用が効かない
普段から同じペダルを使い続けていると、どうしてもその感覚に慣れてしまい、他のペダルを踏んだ時に違和感があります。
その状態で違うペダルを使っても、いつもと同じようなプレイをするためには、ある程度応用力が必要です。
高性能なペダルほどペダル自身が自分の足の動きを助けてくれ、成長させてくれる側面すら持っているため、安価で作りが簡素なペダルを使ったときに特にその違いを感じさせられます。
滅多にありませんが、どうしても備え付けの機材を使わなきゃいけない時などでも自分らしいプレイをするために、いつもと違うペダルを踏んでおき、応用力を試すというのも一つの対策になります。
現場で入れ違いの可能性
ドラムペダルは多種多様な製品がありますが、評判の高いものや人気機種は限られています。
やはりそのような製品は使用している人も多いため、どうしても同じ製品を使っている人が現場で一緒になることがあります。
ビーターなどを変えていない限り、見た目が全く同じなため、他の人のペダルを持ち帰ってしまったというケースも聞かない訳ではありません。
持ち帰ってみたら踏んだ時の感覚が全然違うとならないように、現場での管理は気をつけましょう。
持ち運びが重い
フットペダルは非常に堅牢な作りをしているため、見た目以上に重量があります。
そのため、持ち運ぶのが非常に億劫になる時があるでしょう。
特にスネアドラムも一緒に持ち込むことが多いため、スネアドラムとペダルで両手が塞がり、電車移動などがとても大変ということも多いです。
近年、スネアドラムとペダルを一緒に運べるリュックなども登場していますので、もし持ち運びが大変という方は、そういったケースや台車などを導入することを検討しても良いでしょう。
ドラムペダルの選び方
ビーターとフットボードをつなぐストラップ部分の違い
ビーターとフットボードを繋ぎ、駆動させるドライブ部がまず分かりやすい違いになります。
一般的にはチェーンが使われていることが多いですが、そのチェーンもシングルチェーン仕様とダブルチェーン仕様があります。
シングルチェーン仕様は動きが素早いですが、横ブレなどする時があり、若干安定性に欠けます。
反対にダブルチェーン仕様は踏み心地が若干重くなりますが、横ブレなどはせずに安定性と力強さが出てきます。
他にも、ベルトドライブ、ダイレクトドライブなどがあります。
ベルトドライブは繊維質のベルトが取り付けられており、踏み心地が軽くてニュアンスも付けやすいので、軽快な演奏をする人に向いています。
ダイレクトドライブは金属片でフットボードとカム部分がダイレクトにつながっているため、遊びが全くないので細かなタッチも表現でき、戻りも素早いのでスピード感のある演奏に適していますが、かなり癖の強い踏み心地なので、人を選びます。
初めてペダルを購入する方は、まずはチェーンドライブを試し、そこから検討していくと良いでしょう。
カムの違い
チェーンやベルトが取り付けられているカムの形状も選ぶ際の大きなポイントになり、その種類は大きく分けて真円カムと偏心カムの2種類に分かれます。
真円カムはカムの軸が中心にあることで、踏み込んだ時にカムの回る軌道が真円になるものを言います。
フットボードとカムの動きがほぼ一致することで癖が少なく、扱いやすいという特徴があるので、初心者はまず真円カムから試してみることがオススメです。
偏心カムはカムの軸の中心をズラすことで、回転軌道が楕円になり、フットボードを踏み込んでから、加速するようにビーターがバスドラムへヒットします。
そのため、パワーとスピードが出しやすく、小さな音も軽いタッチで表現できますが、動きの癖が非常に強く、扱いにくいという側面があります。
初めて購入される方は真円カムがおすすめですが、偏心カムも扱えれば表現への強い味方になってくれるので、慣れてきたら一度試してみるのも良いでしょう。
アンダープレートの有無
ペダルと地面が接する部分にアンダープレートが付いているかそうでないかも一つのポイントです。
アンダープレートがあることで横ブレを防いだり、メーカーによっては滑り止めが付いていたりと、ペダルの安定性を高めてくれる側面があります。
足の力も逃さずバスドラムに伝えてくれるというメリットがある反面、アンダープレートがあることでペダルが折り畳めなかったり、重量が重くなったりと持ち運びの際にデメリットを感じることになります。
アンダープレートが無いタイプは独特の踏み心地があり、繊細なタッチなどを重視する方におすすめです。
フットボードの形状
足に直接触れるフットボードの形状もメーカーによって様々であり、もちろん選ぶ際に重要な点となります。
ボードが大きいほど重量も増えるのでパワーが出しやすくなり、近年非常に増えてきたロングフットボードでは軽く踏み込んでも大きな動力を得られるので、スピード感のある演奏が出来ます。
また、フットボード上の滑り止めがどの程度のものなのかもしっかりと把握する必要があります。
特にスライド奏法なんかでダブルをやる人は滑りがある方が良く、反対にドッシリと地に足をつけて演奏したい方は、グリップ力の強いフットボードを選ぶと良いでしょう。
ドラムペダルおすすめ10選
YAMAHAFP720
ベルトドライブ仕様のペダルと言ったらこのペダルを紹介せずにはいられません。
多くのユーザーから高い評価を得ながらも、一時期は製造中止になっていたこのペダルが復活し、業界に衝撃を与えました。
癖がなく、強弱表現にも優れ、自分の出したい音を素直に出してくれる、そんなペダルとなっています。
特筆すべきは調整箇所の少なさであり、ビーターの角度を3段階変えられること、そしてスプリングの張力を変えられること、その2点だけです。
調整はやりすぎると沼にハマってしまうこともありますが、シンプルな構造であるこのペダルでは、そこに迷うことはないでしょう。
ロングフットボードを採用し、パワーも兼ね備えている商品で、色々試して最後にこのペダルに行き着くという方も多いです。
1990年頃から選ばれ続ける理由、それを本ペダルで感じることが出来るので、ベルトドライブ仕様だからといって敬遠せず、一度試してみると、その良さを体感することが出来ます。
DWDW-5000TD4 Delta4
ドラムペダルと言ったら真っ先に名前が上がるのがDWのペダルで、その中でも評価が高く、スタンダードとされているのがこの5000シリーズです。
赤いアンダープレートが特徴で、少し重いかなと思われる踏み心地も慣れてくれば程よい重みと感じられます。
真円カム仕様であり、素直な反応を実現しながら、ダブルチェーンドライブにより、横ブレなども少なく、安定してパワフルな音色を得られます。
他にもDW独自のこだわりを随所に見られる作りをしていることから、この良さは踏んだ人にしか分かりません。
楽器店に置いてあることも多いので、ぜひ一度試してワールドスタンダードと呼ばれるペダルの良さを体感すれば、きっとその魅力に惹かれるでしょう。
またこちらは真円カム仕様ですが、偏心カムを試してみたい方は、同じ5000シリーズのAD4を選ぶと良いでしょう。
PearlELIMINATOR DEMON P-3000D
登場時に衝撃を与えたPearlのダイレクトドライブ仕様ペダルで、ダイレクトドライブならこのペダルを思い浮かべる人も多いでしょう。
とにかく踏み込みが軽く、それでいてニュアンスが細かく伝えられることから、スピード志向のドラマーに人気の品です。
あの元Slipknotの故ジョーイ・ジョーディソン氏も愛用していたことから、その評判は折り紙付きです。
スピード感だけでなく、フットボードのグリップ感を変更できることや、かかと部分のヒンジの長さを調整できることからも、スピード感だけで無い配慮が見えます。
使いこなすために工夫は必要ですが、スピード感あふれるプレイをしたい方はぜひ一度試してみてください。
ドラムペダルの使い方
スプリングをベアリングに取り付ける
購入時に取り付けられていることも多いですが、ペダルに付属しているスプリングを取り付け部分であるベアリングに引っ掛けます。
この時にスプリングが固くて引っ掛けられないという時は、スプリングの設定を緩くしてから引っ掛けると、スムーズに取り付けできます。
ビーターをカム部分にセットする
カム部分にビーターをセットする部位があるので、そこにビーターを差し込み、チューニングキーで固定します。
この時にビーターの長さをある程度決めることが出来ます。
ビーターの長さは短くなるとパワーが無くなる反面踏み心地が軽くなり、長くなると遠心力でパワーは出ますが、踏み心地が重くなります。
自分に合った長さを見つけてみましょう。
フープクランプをバスドラムにセットする
ドラムペダルのビーター取り付け部側の底面にフープクランプと呼ばれる、バスドラムのフープに噛ませ、固定させるためのクランプがあります。
そのフープクランプをバスドラムのフープに差し込み、付属のネジで固定します。
この時に注意することは2つ。
まずは真っ直ぐに差し込めているかどうかで、曲がっていたり、取り付けが甘いと演奏中に外れるというアクシデントもあります。
もう一つは固定した時にアンダープレートの片側が浮かないようにすることです。
アンダープレートが浮いていると力の係り具合に偏りが出るため、パワーロスになるどころか、前述のペダルが外れてしまうトラブルにも繋がります。
踏んで感触を確かめ、スプリングなどを調整する
取り付けが完了したら、実際に踏んでみて感触を確かめます。
スプリングの強さやフットボードの角度、ビーターの長さを自分好みに調整できたら、初期設定は完成です。
初期設定が出来れば、スプリングやフットボードはそのままに、あとはビーターにはメモリーロックなどを取り付ければ、次回以降スムーズにセッティングの再現が可能です。
ちなみにスプリングの強さは緩くすれば踏み心地は軽くなりますが、ボードの返りが遅くなるので、リバウンドが拾いにくくなります。
その反面、スプリングを強くすればリバウンドは拾いやすいですが、コントロールが難しいことが懸念事項です。
フットボードの角度は浅くすればするほど踏み代が短くなるので軽くなりますが、パワーは劣ります。
その反面フットボードの角度を深くすれば遠心力でパワーが出る反面、踏み心地が重くなります。
様々な要因が絡み合い感触は変化していくので、初心者の方はまずは購入時の状態を維持し、そこから少しずつ変えていくのがオススメです。
まとめ
リズムの基盤を担うバスドラムを演奏するために必須なのがドラムペダルであり、快適に演奏出来るような工夫が各メーカーで試行錯誤されています。
多種多様なペダルがあるので、迷ってしまうことも多いですが、上記を参考に自分の目指したいスタイルに合わせて、マイペダルをぜひ検討してみてください。
きっとそのペダルは文字通りあなたの足となり、まだ見たことない世界へと連れて行ってくれるでしょう。
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