マーチングバンドと言われると、トランペットやホルンといった管楽器を思い浮かべる方が多いかも知れませんが、花形の管楽器のメロディーラインを支えているのは実はリズム隊の打楽器たちです。
リードリズムを担うマーチングスネアに関しては、いざ演奏をしたいと思ってもどんなスネアを選んでいいのか分からず困ってしまう方も多いのではないでしょうか。
- 一般的なスネアドラムとの違い
- マーチングスネアの特徴
- マーチングスネアの選び方
- おすすめマーチングスネアドラム10選
など、今回の記事では詳しくご説明していきますので参考にしてみてください。
マーチングスネアドラムと一般的なスネアドラムの違い
マーチングスネアドラムと、一般的なスネアドラムの大きな違いは下記になります。
- マーチングスネア:シェル(胴)が深く、明るくキレのある音が得意
- 一般的なスネアドラム(ドラムセットのスネアドラム:シェル(胴)が浅く、スナッピ(ザラつい)音が得意
それぞれの細かな特徴を見ていきましょう。
マーチングスネアドラムについて
マーチングスネアドラムは、広い体育館や音響のない屋外など広い場所で使われることが多いです。
一般的なスネアドラムと比較してみると「シェル(胴)が深く、丈夫なヘッド」を持っていることや、深いシェルから繰り出されるダイナミックな音が特徴として挙げられます。
一般的なスネアドラムでは実現できないハイテンション(ヘッドの張り)のチューニングが可能である点も、マーチングスネアの大きな特徴です。
一般的なスネアドラムについて
一般的なスネアドラム(ドラムセットのスネアドラム)は、マーチングスネアより「シェル(胴)が浅めでヘッドの厚みも薄め」になります。
そのため、マーチングスネアドラムと比べると控えめな音量と音の繊細さが特徴。
ヘッドを見てみると、厚みと素材の種類が豊富にあるため、音のニュアンスも自由自在にカスタマイズ可能です。
マーチングスネアの様にハイテンションでチューニングすると、ヘッドが傷ついてしまうのでヘッドを張ることは難しいですが、音色の調整は幅広く楽しめます。
マーチングスネアドラムにこだわるメリット
マーチングスネアにこだわるメリットは下記になります。
- ダイナミックな演奏ができる
- 明るくクリアな音がつくれる
- 奥行きのある音を奏でられる
ダイナミックな演奏ができる
マーチングスネアは、屋外の様な広く、音が響きにくい環境で使われることが多いです。
そのため、「ボリューミーな音量」と「響きやすい高く鋭い音」が出るようになっています。
遠くにいる人にも演奏の迫力を届けられる力強さが魅力的。
- 音響がない。もしくは、広い場所で演奏することを考えている
- ダイナミックさを追求したい
そんな方にはマーチングスネアの購入がおすすめです。
明るくクリアな音がつくれる
ハイピッチチューニングが実現できるからこそ、ハリのある明るくクリアな音色を奏でることができます。
一般的なスネアドラムでは感じることができない、スティックのリバウンドも体感できるため、ハイピッチが好きなドラマーの方は試してみるのもおすすめ。
シェルが浅めのマーチングスネアもあるため、オーケストラやバンド演奏でも楽曲によって使うことも可能。
- ハイピッチチューニングを楽しみたい
- スナッピ(ざらついた音)ではなく、クリアな音色を出したい
そんな方には、シェルが浅めのマーチングスネアドラムがおすすめです。
奥行きのある音が奏でられる
マーチングスネアは複数人で演奏すると、音が重なり音に奥行きが出てきます。
もたつかない音・キレのある響く音。
これらの音が出せるマーチングスネアだからこそ可能な演奏スタイルです。
- 複数人でスネアをたたく演奏スタイルを考えている
- スネアの音を抑えた楽曲を演奏したい
そんな方もマーチングスネアドラムの特性を生かしてみる価値はあります。
マーチングスネアドラムを購入する際の注意点
マーチングスネアドラムを購入する際に注意した方がいい点もご紹介いたします。
- 大きい打音が出てしまう
- 繊細な音が出しづらい
- 一般的なスネアドラムより種類が少ない
大きい打音が出てしまう
マーチングスネアの音量や音には、「広い場所や野外でもマイクを使わず生の音を響かせる」という力強さがあります。
もし、音を気にする場所で演奏がしたい時、そのパワーが仇になる場合も。
音量を抑えた演奏をしたい方は、叩いた時のスティックのリバウンドは減少してしまいますが、静音パネルを活用することがおすすめ。
繊細な音が出しづらい
マーチングスネアのヘッドは非常に丈夫です。
丈夫な秘訣は、ファラムと呼ばれる「防弾ジョッキ」に使われる頑丈な素材にあります。
強靭なヘッドを叩くと鋭くはっきりした音色が出ます。
そのため、温かみのある繊細な音を表現することは極めて難しいのです。
繊細な音を奏でたい方は、テンションを緩めることやヘッドの素材を変える必要がでてくるでしょう。
一般的なスネアドラムより種類が少ない
一般的なスネアドラムと比較すると、ドラム自体の種類が少ないことがデメリットとして挙げられるでしょう。
バンドやオーケストラの演奏で使われるスネアドラムは、曲のジャンルが幅広い分、シェルやヘッドの素材など種類が豊富にあります。
一方、マーチングスネアはパワーを追求している分、種類が限られる特徴があります。
様々な音色を楽しみたい方は、「ヘッドのチューニングを変える」「ヘッドの素材を変える」ことで音のバリエーションを増やし対処も可能です。
マーチングスネアドラムの選び方
マーチングスネアを選ぶにあたり、大切なポイントは演奏環境と演奏スタイルです。
そこでマーチングスネアドラムを選ぶ際にチェックするポイントは下記になります。
- 口径の大きさ
- シェルの深さ
- シェルの素材
口径の大きさ
口径とは、ドラムの打面や裏面の直径を指します。
口径が大きいほど、叩いた際の振動が持続しやすく音量が出やすい特徴があります。
- 音量を追求したい
- スティックコントロールが心配
そんな方は、口径が大きめのドラムを選びましょう。
シェルの深さ
スネアドラムの深さは、シェル(胴)の長さを指しています。
シェルが浅いと「スナッピの音が強めの音」になり、シェルが深いと「太くボリュームのある音」になります。
- 演奏する環境が広く音が響きにくい場所
- スナッピの音を抑えたい
このような演奏を考えている方は、シェルが深めのスネアをチョイスするといいでしょう。
シェルの素材
シェルの素材は大きく分けると「メタル系素材」「ウッド系素材」の2種類があります。
- 明るくパワフルな音色
- ボリューミーな音量
- キレのある音
※ブラス系やアルミ系の素材はメタル系の代表的な素材で明るくきらびやかな音の印象が強めになります。
メタル系の素材は種類が非常に豊富でもあるので、曲のジャンルによって使い分けることで表現の幅を広げられる醍醐味があります。
自分の好きな音色やスタイルがある方は、こだわりの1台を持ってみると演奏がより楽しく充実したものとなることでしょう。
- 重厚で温かな音色
- 明るくも落ち着きのある音
- どんなジャンルにも合わせやすい音
ウッド系素材は、音色に癖がなく様々なジャンルにも合わせやすい万能さが魅力で、初心者からプロドラマーも多く愛用しています。
自分の好みやスタイルなどがはっきりしていない初心者でも、気軽に演奏が楽しめるので、幅広い人に愛される素材なのです。
マーチングスネアおすすめ10選
YAMAHAマーチングスネアドラム(MS-9314WH)
【YAMAHA】マーチングスネアドラム(MS-9314WH)は、非常におすすめ。
マーチングの本場アメリカで、長期に渡りヒアリングとフィールドテストを重ねてきたドラムであり、YAMAHAの本気というべき、「軽量化」「音色」「操作性」を追求した最新モデルです。
下記の動画でMS-9414シリーズの魅力を知ることができるので、気になる方はぜひご覧ください。
YAMAHAMARCHING SNARE DRUMS(MS-6314)
【YAMAHA】MARCHING SNARE DRUMS(MS-6314)は、最新のMS-9414の2世代前のモデル。
こちらのドラムは小学生から上級バンドまで、幅広い層に使われる一般的なタイプのマーチングスネアドラムです。
サイズも13インチ(33㎝)と14インチ(35㎝)の2種類があるので、自身の叩きやすさに合わせてチョイスできることも魅力的。
音質にもYAMAHAのこだわりが詰まっており、バーチプライシェルの軽快な音の立ち上がりと豊かなサウンドが楽しめます。
ZEN-ONバンビーナ マーチングスネアドラム(PG-3NW)
上級者よりも初心者や演奏を楽しみたい方で気軽に試してみたい方にオススメのモデルです。
ちなみに「ゼンオン」という名は、楽譜を購入する際に聞いたことがある方もいらっしゃるかも知れません。
「ゼンオン」は、楽譜をはじめとする日本の音楽関連事業を展開する会社です。
そんな日本の音楽専門会社が手掛けるマーチングドラムですが、音質についてはシェルはアガチスを使用した木胴で、重厚で温かみのある音色を奏でることができます。
また、キャリング・ホルダーの装着がしやすい構造になっているので、スターターセットとして充分な装備です。
マジェスティックフィールド・スネアドラム(MJ-MPS1412FWA)
【マジェスティック】フィールド・スネアドラム(MJ-MPS1412FWA)は、「音色にこだわりたい」という方におすすめ。
響き線にこだわり、マーチングスネアでは表現が難しい繊細な音も出せるプロフェッショナル仕様となっているマーチングスネアドラムです。
別売りの響き線も豊富にあるため、自分の満足のいく音色にカスタマイズが可能。
薄めのウォールナッツ材シェルで軽量性も追及されており、質の高い演奏ができること間違いないでしょう。
Black Swamp Percussionフィールド・ドラム (PT1014MS)
【Black Swamp Percussion】フィールド・ドラム (PT1014MS)は、音色にこだわりたいけれど、自分のスタイルが分からない方におすすめ。
響き線は、太さと質の異なる3種類で構成されています。
- 繊細さとボリュームを出せるケーブルユニット
- パリッとした明るい響きが出せるケーブルユニット
- 柔らかい響きが出せるケーブルユニット
これらのケーブルユニットを組み合わせることで、深い響きを奏でることが可能になり、実際にオーケストラの場で奏でられる曲調の様なシンフォニックサウンドでも使われています。
フィールドで演奏する時でも、聴いていて心地よい高次元の音色も届けられる魅力的なマーチングスネアドラムです。
YAMAHA マーチングスネアドラム (MS-2010)
【YAMAHA】 マーチングスネアドラム (MS-2010)は、音色の良さを追求しつつ、小柄な幼児でも演奏できる「本格派の小さなプレーヤー向け」のモデル。
「徹底した軽量化」と「音の響きの質を落とさない」ことを追求している所が魅力的であります。
- 胴浅10インチ(25㎝)の小さめなヘッドのつくり
- 上位機種と同様のバーチ材を採用
未来のスーパープレイヤーを想像させる幼児用モデルとしておすすめです。
Pearlマーチングスネアドラム(MJC-210S)
【Pearl】マーチングスネアドラム(MJC-210S)も、小柄な幼児向けのモデルです。
マーチング様に開発されたPearlこだわりのマーチングスネアで、10インチ(25㎝)と12インチ(30㎝)が販売されています。
2種類の口径から体の大きさや叩きやすさ、そして成長に応じてチョイス出来ることも魅力の一つ。
音質も「歯切れの良さ」が追及されていて、マーチングの演奏を十分楽しめるつくりになっています。
Vangoa スネアドラムキット マーチング用スネアドラム
【Vangoa】 スネアドラムキット マーチング用スネアドラムは、マーチングスネアを機会にドラムを始める初心者の方におすすめです。
- マーチングスネア
- 専用ケース
- スタンド
- スティック
- ストラップ
- ドラムミュートパッド
がセットになっています。
ヘッドは14インチなので、マーチングスネアの中では比較的大きめのヘッドのスネアドラムです。
打面が大きいので、初心者でも叩きやすいのがポイント。
マーチングの演奏としても使えますが、どちらかというとスタンディングの演奏向きなので、マーチングバンドの練習用として活用することが良いでしょう。
YUYDZYスネアドラムキット
【YUYDZY】スネアドラムキットは、シェルが深くハイテンションな本格的なマーチングスネアではなく「気軽に演奏を楽しみたいだけ!」という方におすすめ。
13インチの透明ヘッドが特徴の小さな子供向けのドラムですが、大人の方でも練習用として使える1台です。
ヘッドには青色のガイドラインとしても活用できる線があるため、正確なスティックワークの練習に活用できます。
シェルはステンレス製のシェルのため、他のマーチングスネアと比べると、明るく軽快な音が楽しめます。
ZEN-ON スネアドラム 深胴 (WS-314D)
【ZEN-ON】 スネアドラム 深胴 (WS-314D)は、スタンドを使った演奏に特化している方におすすめです。
キャリングホルダーを付けることができないこと、ハイテンションのチューニングが難しいヘッドの素材である点は要注意。
しかし、シェルが6.5インチ(16㎝)と深めのため、屋外でも通るパワフルな音は出ますのでマーチング演奏は問題ないでしょう。
音色もハイテンションのチューニングができない反面、繊細な音を奏でることができるので繊細さを追求したい方におすすめです。
マーチングスネアの使い方
マーチングスネアの使い方は、一般的なスネアドラムとほぼ変わりません。
慣れるまではチューニングやセッティングが難しいかも知れませんが、慣れてしまえば簡単に出来るようになります。
マーチングスネアの使い方で注意が必要なことを強いていうのであれば、演奏スタイルによってセッティングが変わってくることのみ。
では、大まかな使い方を解説していきます。
チューニングして音程を調整
一般的なドラムと同じく、基準となる音に合わせ、ヘッドのテンションを調整していきます。
既に知っている方もいらっしゃると思いますが、ドラムにも音程があり、素材やシェルの深さなどにより個体差があります。
基準となる音にチューニングをする方法は、
- シェルをマレットや人差し指の関節の骨辺りで叩く(叩いた際に響いた音が基準音になります。チューナーなどで音程を測っておくことがベスト)
- テンションボトルを指で締められるまで締めていく(あまり強く締めすぎないよう注意)
- 叩いた際に鳴った音程に合わせ、チューニングキーを使用しテンションを調整
- 裏面(スネアサイド)も同様にチューニングキーを使用し調整
- 基準音の音程を確認しながらチューニングキーを微調整
最終的にヘッドを指で押した際、沈まない強さまでテンションが張っていることが理想です。
スナッピをセットする
スナッピとは、ドラムの裏面についている響き線を指します。
スナッピをオンにすると「タッ」といった鋭い音に。
スナッピをオフにすると「ポン」といった少々こもり気味な音になります。
多くの場合はスナッピをオンにして演奏をすることが多いですが、曲のジャンルによって使い分けることもあるので、譜面や曲調を確認して対応しましょう。
キャリングホルダーの装着(歩きながら演奏する場合)
マーチングとして歩きながら演奏をする場合、キャリングホルダーを使います。
使い方はキャリングホルダーのメーカーにより異なるため、ドラム装着前に説明書を確認しましょう。
基本的には、下記が一般的な装着の流れになります。
- アーム等のキャリングホルダーのパーツのセッティング
- ショルダーやウエストの調整
- マーチングスネアの取り付け
スタンドのセッティング(立って演奏する場合)
行進せず立ったまま演奏をする場合、ドラムスタンドを使います。
マーチングスネアのヘッドが自身の腰の位置の高さになるよう、スタンドの高さを調整してきます。
あとは、自分の叩きやすい高さに微調整して完成になります。
マーチングスネアの代用品は?
マーチングスネアを代用するにあたり、次の2つを実現することがポイント。
- 音量の大きさ
- マーチングスネア特有の鋭い音
これらに当てはまるのが、小太鼓になります。
小太鼓を叩いたことのある方ならお分かりいただけると思いますが、小太鼓の打面は結構固いですよね。
そして、叩くと高くキレのある大きな音がします。
よくよく見ていくと、シェルが浅めのマーチングドラムにシルエットが似ている気もしますよね。
和の楽器でマーチングの様な洋の音楽を奏でてみることも面白いでしょう。
マーチングスネアドラムの自作方法は?
一般的なスネアドラムのパーツを揃えてしまえば、誰でもこだわりの1台が作れます。
主に必要なパーツは下記になります。
- シェル
- ヘッド
- リム・フープ
- テンションボトル
- ラグ
ただ、マーチングスネアドラムを自力で組み立てて作ることは現実的に非常に難しいです。
どうしてもマーチングスネアドラムにこだわりたい方はオリジナルドラム制作を専門とするお店に依頼することも検討してみましょう。
まとめ
マーチングは海外発祥の文化ですが、今は日本でも学校の音楽の授業や部活動、社会人サークルで楽しまれています。
マーチングが日本に馴染んでいくにあたり、楽器も軽量化や音色のこだわりといった進化を遂げています。
マーチングスネアドラム上級者だけでなく、初心者や子どもまで演奏が楽しめる様に幅広い種類のマーチングスネアが誕生しているのです。
マーチングを極めたい方や楽しみたい方は、自分だけのこだわり抜いたマーチングスネアドラムを購入してモチベーションを高めていくのもいいでしょう。
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