初心者からアルトサックスを始めると度々目にするのが、ソプラノサックスへの持ち替え。
ソプラノサックスを持っていなくて、ソロパートを他の人に譲る経験をした人もいるのではないでしょうか。
また、ソプラノサックスを持っていれば、アンサンブルで四重奏を組むこともできるので、サックスライフがさらに楽しくなります。
この記事では、初心者向けのソプラノサックスの選び方と、おすすめのソプラノサックスを10選ご紹介し、上達するための練習方法について解説します。
初心者向けソプラノサックスとは
ソプラノサックスはアルトサックスに比べて、演奏するのが難しいといわれています。
小さくて音を出すのは簡単なのですが、初心者が演奏すると「キーキー」とうわずった音色や、おもちゃのような「ベラベラ」した安っぽい音色になりがち。
こうした音色の問題は、吹き方を変えることで改善できるのですが、そもそも楽器のクオリティが低いとなかなか結果が出ません。
ただ、ソプラノサックスは、持ち替えやアンサンブルでしか使用しないため、あまり予算をかけたくないと考える人もいるのではないでしょうか。
ソプラノサックスを購入するには、まとまったお金が必要になりますので無理のない価格帯で安心できる楽器を選ぶことをおすすめします。
初心者向けソプラノサックスの選び方
初心者向けソプラノサックスは、下記のことを意識して選ぶのがおすすめです。
- 品質
- 価格
- 音色
品質で選ぶ
ソプラノサックスを選ぶ基準として、基本的にはサックスの3大メーカー、ヤマハ・ヤナギサワ・セルマーのサックスを選べば安心です。
サックスの3大メーカーならば、初心者でも楽器の品質に左右されることなく安心して練習することができます。
ただ、アルトサックスでは10万円台の初心者向けモデルを取り扱うヤマハでも、ソプラノサックスの初級モデルは20万円台と、高めの価格設定です。
グレードアップするとさらに価格が上がって、購入するには躊躇してしまうかもしれません。
しかし、ソプラノサックスはそれだけ製造が難しく精密な楽器なので、3大メーカーでしたら投資する価値はあるでしょう。
予算と相談して選んでみてください。
価格で選ぶ
「少しでも予算を抑えたい」ということでしたら、楽器店監修のブランドがおすすめ。
楽器店監修ブランドならば、さまざまなメーカーの楽器を取り扱ってきた経験を生かして、低価格ながらも品質のよいソプラノサックスを製造しているからです。
3大メーカーと比べてしまうと個体にばらつきがあるなどのデメリットもありますが、そこは中古のサックスと同じできちんと調整されたものでしたら安心して購入できます。
コンクールに出場しない楽団や、音楽サークルでの演奏でしたら満足できるでしょう。
音色で選ぶ
ソプラノサックスをよくみてみると、ネックの部分に種類があります。
- ストレートネック(管体までまっすぐ伸びる):はっきりとした音色
- カーブドネック(マウスピースの近くに傾きがある):太くて柔らかい音色
また、ネック部分が一体型のものと、取り外しができるものがあります。
取り外しができると、ひとつのソプラノサックスでストレートネックとカーブドネックの付け替えができてお得感があるのですが、吹いたときの抵抗感が強くなる傾向にあります。
これは慣れの問題もありますので、お好みで選びましょう。
また、ソプラノサックスには、管体がアルトサックスなどの他のサックスと同じように湾曲した、カーブドソプラノサックスと呼ばれるものもあります。
カーブドソプラノサックスは主にマーチングで使用するもので、海外では子どもが最初に挑戦する本物のサックスとして選ばれることもあるようです。
マーチングをしない団体では使用することはありませんので、ストレートタイプを選ぶようにしましょう。
初心者向けソプラノサックスおすすめ10選
ここからは、実際に初心者が購入を検討してほしいソプラノサックスを10選ご紹介いたします。
YAMAHAYSS-475
初心者がソプラノサックスを購入するときに、まず始めに検討したいのがヤマハのソプラノサックスYSS-475です。
小指キイの配置が初心者にも扱いやすく設定されており、安い価格帯ながらも品質も維持されている点がとても優秀。
一体型のストレートネックで、まっすぐで明るいソプラノサックスらしい音色が特徴です。
YAMAHAYSS-82ZR
ヤマハのカーブドネックのソプラノサックスです。
YSS-82ZRは、かつてヤマハの定番人気サックスであったYSS-62のコンセプトを引き継いでおり、ジャズを演奏するのに適しています。
ネックがカーブしていることで、音色が太く柔らかくなるほか、構えやすいのでアルトサックスからの持ち替えもスムーズにきまります。
Yanagisawa(S-WO1)
S-WO1はヤナギサワのソプラノサックスの中では最も初心者におすすめのモデルです。
ヤナギサワ独自の種類分けで、「ライト仕様」に分類されており、軽やかな吹き心地です。
ストレートネックのはっきりとした明るい音色は、吹奏楽、ジャズ、クラシックなど様々なジャンルになじみ、これ1本で長く愛用できます。
Yanagisawa(S-WO10)
YanagisawaのS-WO10は「ヘヴィ仕様」のソプラノサックスです。
先ほどご紹介したS-WO1モデルよりもしっかりとしたブレスが必要になりますが、その分音色に重厚感がでて、初心者でも豊かな音色が目指せます。
一体型のカーブドネックが音に丸みを持たせてくれ、構えやすいので身体への負担も軽減してくれます。
Yanagisawa(S-WO2)
サックスは主に、真鍮(ブラス)という、銅と亜鉛を混ぜた素材で作られています。
S-WO2は先ほどまでのソプラノサックスとは異なり、管体に使用する銅の量を増やした”ブロンズブラス”製です。
銅の含有量が多いことで、ソプラノサックスにありがちなベラベラした音色が出るのを防ぎ、豊かでたっぷりとした音色に仕上げています。
ストレートネックの「ライト仕様」で、軽い吹奏感なのも魅力です。
SELMER (SS SA80 W/O GL)
サックス選びにセルマーは外せないのですが、値段が高価なので初心者には厳しいところ。
目当てのソプラノサックスがあれば、中古を検討するのもいいと思います。
調整された中古のセルマーは、他メーカーの新品と比べて悩む価値のある、おすすめの楽器です、
こちらのスーパーアクション80は、1984年製造で製造数が非常に少ないモデルとのこと。
セルマー独自の、重厚な音色を感じてみてください。
Antiguaスタンダード ソプラノサクソフォン (SS4290N)
アルトサックスやテナーサックスではあまりおすすめしないのですが、持ち替えやアンサンブルでしか使用しないソプラノサックスでしたら、安価な他メーカーを検討するのもひとつの選択肢です。
アンティグアはセルマーのサックスを取り扱う野中貿易が監修したブランドです。
これまでご紹介したソプラノサックスと比較しても、とても安価で手に入るのですが、性能は劣りません。
はっきりとした明るい音色が魅力で、ネックがストレートとカーブドの2種類ついているため、音色を調整して演奏になじませることができます。
Antiguaブラック サテン パーツ サクソフォン (SS4290)
ベル部分を大きくしたパワーベルタイプのソプラノサックスで、屋外ライブで使用しても埋もれない、芯のある力強い音色が魅力的。
通常モデルよりも肺活量が必要になるのですが、吹きこなせばソロやアンサンブルで活躍が期待できます。
通常のサックスは、ゴールドかシルバーカラーですが、こちらのモデルはブラックニッケル仕上げで高級感が感じられ、とても珍しいソプラノサックスです。
キイはクラシックニッケルという素材が使われているのですが、左手小指キイがブルーカラーになっているなど、細かいひと工夫がおしゃれ。
安価なので2本目として購入したくなるくらいおすすめな、個性的なソプラノサックスです。
CannonballSVR-L
キャノンボールはジャズ奏者に知られたサックスメーカーです。
一体型のストレートネックで、ヴィンテージサックスを意識して設計されているので、枯れたような渋い音色が特徴。
吹奏楽やクラシックではなく、ビックバンドなどのジャズで使用する方向きで、初心者でも理想の音色が手に入ります。
フェスティ(Tiara S)
フェスティは、島村楽器が立ち上げたサックスブランド。
安価な価格帯が魅力ですが、楽器店監修だけあって安心して購入できます。
軽い吹き心地が初心者にも扱いやすく、ネックがカーブド、ストレートの2種類付属しているので、音色の変化も楽しめます。
ソプラノサックスが欲しいけど、予算面で悩んでいる人にはぜひお試しいただきたいアイテムです。
ソプラノサックスの上達方法
せっかくソプラノサックスを手に入れたのに、どうも理想の音がでない、とお悩みの方も多いはずです。
では、どうしたらソプラノサックスが上達するのか、基本の練習方法を具体的にご紹介いたします。
息を吹き込む練習をする
ソプラノサックスの音色が暴れてしまう1番の原因は、息が足りていないことにあります。
サックスに限らず管楽器全般に言えることですが、楽器をよく鳴らすには十分にブレスをとって楽器の先端まで息を吹き込み、自分の身体全体に音を響かせる必要があります。
まずお試しいただきたいのは、キイを全部ふさいだ状態で音を出さずに息を吹き込み、ベルの先まで息が通る感覚を身に着ける練習方法です。
簡単に音が出ることに甘えて、口先だけのブレスで音を鳴らしていたことに気が付くかもしれません。
高音でも低音でも、ff(フォルテシモ)でもpp(ピアニシモ)でも、この息の使い方をキープできるのが目標です。
アンブシュア(口の形)の練習をする
アルトサックスを吹いている方が、ソプラノサックスを始めて最初に驚くのは、マウスピースの小ささでしょう。
実はアンブシュアの習得が最も難しく、初心者は苦戦します。
小さいマウスピースに合わせてアンブシュアも締めなくてはいけないのですが、ついつい緩みがちになってしまうことも。
アンブシュアは口の中も重要なポイントなので、下記の手順で適切な口腔内コントロールを覚えましょう。
- 開放の運指(ド♯)の音を鳴らす
- 口の中が広い状態からだんだん狭めて美しい音色に近づけていく(舌の根本を上げて先端を下げるイメージ)
※口の中が広がりすぎていると音色が暴れてしまいます
アンブシュアは音階によって変化させるものですが、最も暴れやすい開放の運指(ド♯)で理想の音に近づけることができれば、他の音階でも応用できるはずです。
ブレスコントロールの練習をする
アンブシュアが作れたら、次はブレスコントロールの練習をしましょう。
ブレスコントロールができるようになると、音階に合わせた適切な息の量、息の速さを身に着けることができます。
- キーキーとうわずった音色になりやすいのでアンブシュア(舌の根本を上げて先端を下げる)をキープ
- ポイントは噛む力は強めないこと。適切なアンブシュアで速くて細い息を目指して息を吹き込む
- 芯のある安定した音色が出るまで調整して練習を行う
- もちゃのようなベラベラした安っぽい音色になりがちなのでブレスコントロールで改善をしていく
- pp(ピアニシモ)で音を出し、どの位の息の速さで音が鳴るのか感覚を掴む(息の速さが遅いと音がかすれて鳴らないはず)
中低音を出す時は、腹筋で音量を押さえつつ、速い息を出すことになるため難易度が高いのですが、ブレスコントロールを習得すれば理想の音色に近づけます。
ソプラノサックスを吹く時のコツ
ソプラノサックスを吹きこなすには、意識したいポイントがたくさんあります。
上達方法でもお伝えした通り、適切な息の量と、アンブシュアを覚えて、音階によってブレスコントロールをしっかりとることがまず重要です。
吹き方の改善をしたうえで、さらに音色の改善を目指したいのであれば、セッティングも工夫してみましょう。
サックスは、口元に近いマウスピース・リガチャー・リードの組み合わせ次第で音色がさまざま変化する楽器です。
- はっきりした音色にするなら、細めのマウスピースを選びましょう
- 太くて柔らかい音色にするなら、広めのマウスピースを選びましょう
セッティングで調整するのもサックスの醍醐味であり、吹きこなすコツです。
目標とするサックス奏者の音色をよく聞いて、基本を確認しながら理想の音色に近づけてください。
まとめ
小さくて軽いソプラノサックスは、見た目に反して美しい音色を出すのが難しい楽器ですが、初心者でも適切に楽器を選び、基本に沿って練習することでソロパートでの持ち替えやアンサンブルで十分活躍することができます。
アルトサックスもソプラノサックスも吹きこなすことができたなら、もう初心者は卒業です。
沢山の曲に挑戦して、サックスライフを満喫しましょう。
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