ティンバレスという楽器はご存知でしょうか?
主にラテン音楽に使用されるため、あまり知名度は高くないかもしれません。
とはいえ、ラテン一つとっても種類は多く、リオのカーニバルで有名なサンバや、落ち着いたカフェでよく耳にするボサノバ、情熱的な踊りのタンゴなど、本当に幅広いものです。
ティンバレスはラテン音楽のみならず、ポップな効果音のように導入されることもあります。
例えば、アニメ「サザエさん」のエンディングテーマ、1番最後の締めに鳴る”カンッ”という音や、「うる星やつら」のラムのラブソング、♪好きよ好きよ好きよ~の直前のフィルインなど、あーこれか!と、実は聞いたことがあったなんてことも少なくありません。
そんな、多様性に富んだティンバレスについて、ご紹介していきます。
ティンバレスとは
ティンバレスは、大小異なる2つの太鼓が対になっている、キューバ発祥のラテン楽器です。
太鼓といえば、ドラムやタムタムの様に両面ヘッドが張ってある”ダブルヘッド”を想像される方が多いと思いますが、ティンバレスは片面のみの”シングルヘッド”です。
故に、ダブルヘッドより音は短く、打点がはっきりとした明るい音が印象的です。
ティンバレスとは言うものの、そのもの単体というより、カウベルやジャムブロックなどの楽器をまとめた総称を指すことが多いです。
他の太鼓と違う点も多く、ティンバレスの胴の部分(パイラ)を叩いてリズムを刻んだり、スティックや手で打面を押さえてミュートをしたり、見た目のシンプルさに反して、様々な奏法を駆使してリズムを生み出します。
ティンバレスにこだわるメリット
ラテンパーカッションのレギュラーメンバー
ラテン音楽をよくご存知の方にとっては当たり前のようなものですが、”ボンコンティン”といって、ボンゴ、コンガ、ティンバレスの3つはラテンパーカッションの基本の組み合わせです。
それぞれの違うリズムが組み合わさることによって、ラテン音楽の独特なノリが作られています。
ティンバレスの選び方
メーカー
主要なメーカーは、LP、PEARL、MEINLの3種類です。
中でもLPは、有名なプレイヤーのモデルも多く人気ですが、本格的な分お値段もそれなりです。
がっつりラテンをやるわけではないという方や、あまりこだわらなくても良いという方は、PEARLやMEINLの方が、より低価格でコスパの良い物がたくさんありますので、そちらで十分でしょう。
パイラ(胴)の材質
ティンバレスを選ぶにあたって、大きな差を感じるのはパイラの音です。
一番メジャーな材質はスチールで、明るく、くっきりとした程よい硬さのある音で、その上癖もないので、他の楽器との相性も問題ありません。
一方、ブラス(真鍮)やブロンズ(銅)は温かみのある音で倍音も豊かなので、若干扱いが難しく、スチールと比べるとパンチに欠ける印象があります。
そういった点から、スチールの方が初心者から上級者まで幅広く好まれる傾向があります。
ティンバレス用スティック
ドラムスティックのようなチップはなく、一直線に伸びた、一見ただの棒のような見た目をしています。
太さはドラムスティックより1~2回り程細いです。
なんせ細いので、持ちにくさを感じる方が多いと思います。
まずは自分が持ちやすい太さを選ぶといいでしょう。
材質は主にメープルとヒッコリーの2種類で、メープルは柔らかく丸みのある音に。
ヒッコリーは硬く鋭い音で、音量も出しやすいです。
どちらが良いか迷ってしまったら、ティンバレスらしさを出しやすいヒッコリーをお勧めします。
ティンバレスおすすめ10選
PLAY WOODTimbales&Stand(LT-256)
https://item.rakuten.co.jp/soarsound/10012313/非常にお手頃な価格のティンバレスです。
本格的なものや、長期使用を考えていない方にとっては十分な1台といえます。
その分、スタンドが若干心もとないため、スタンドでの演奏や移動の際には注意が必要です。
ティンバレスの叩き方
パイラを叩く
パイラを叩く奏法はティンバレスの特徴の一つです。
叩く位置は、両腕をだらんと下ろし楽に構えた時に、自然とパイラの側面に当たる角度で大丈夫です。
まずはその位置からブレずに一定で叩けるようにしましょう。
次のステップは叩き分けです。
スネアドラムと同じく、オープン・クローズ奏法。
それから、ティンバレスに欠かせないのはミュート奏法です。
スティックをバウンドさせずに、叩いた後そのまま先端をパイラに押し当てます。
ヘッドを叩く際にも使用する奏法ですので、ぜひ取得しましょう。
スティックやパイラの位置で音の高低や音色も変わってくるので、使い分けが出来るようになると、より表現の幅が広がります。
カスカラ
カスカラとはマンボのリズムで、ティンバレス奏者がパイラを叩く時は基本的にはこのリズムです。
左右どちらもパイラで刻むことが多いですが、右手はパイラ、左手は低い方の太鼓を叩くこともあります。
その場合は、先程お伝えしたミュート奏者を使い、音の長さを調整しながら演奏します。
というのも、この時叩くリズムはコンガやベースの”トゥンバオ”と呼ばれるリズムに合わせて叩くため、長さを合わせる必要があるからです。
他にも、カウベルやジャムブロックと組み合わせ、自由に行き来をしながら、曲や雰囲気に合ったグルーブを作っていきます。
アバニコ
ティンバレスの代名詞ともいえるアバニコ。
ドラムでいうフィルインのようなものです。
拍頭にリムショットを打ちますが、そこへ持って行くようにダブルストロークでロールを入れます。
多くは前の4拍目からロールを入れますが、その長さは決まっていません。
上手く決まると曲全体が締まりますし、逆に決まらないと、皆がこけてしまう程重要な一手です。
カウベルとジャムブロック
多くのティンバレス奏者は、太鼓の中央奥の所にカウベル(マンボベルとチャチャベルの2種類)と、ジャムブロックをマウントして演奏します。
マンボベルを叩き始めるタイミングは、曲が盛り上がるマンボの時です。
(この時、ボンゴ奏者はボンゴからボンゴベルへ持ち替えます。)
今までパイラを叩いていたので、曲の雰囲気ががらりと変わります。
左手はトゥンバオのリズムに沿いながら遊びを入れられると、アクセントになって良いでしょう。
さらに盛り上がってきたら、マンボベルのリズムはそのままにシンバルへと移行します。
そして、もう一つ欠かせない楽器がジャムブロックです。
主にクラーベのリズム(2-3,3-2)を刻みます。
右手はパイラ、左手はクラーベを叩くので、慣れるまでは難しいかもしれませんが、クラーベはラテン音楽の核ですので、取得出来るよう頑張りましょう。
ティンバレスの代用品は?
1番音が近い楽器で上げると、へピニキというサンバで使用される楽器です。
ヘッドが同じプラスチックヘッドであり、リムショットを叩けばティンバレスの様にカンカンと鋭い高音が出ます。
ただ、この楽器を持っている方はごくわずかだと思いますので、身近な楽器の中ではスネアドラムが妥当です。
スナッピーをオフにし、高めのチューニングにすればティンバレスと似たような効果が得られるでしょう。
ですが、どちらの楽器もここぞというフィルだけならば十分代わりになるかもしれませんが、ティンバレスの役割はそれだけではありません。
先程お伝えした様々な奏法でアンサンブルが出来てこそのティンバレスです。
極論、代わりになるものはないといっても過言ではありません。
まとめ
以上、簡単にご紹介させていただきましたが、ティンバレスには多くのリズムパターン存在します。
演奏するジャンルや一緒に演奏する楽器の組み合わせによって、柔軟に変化させていかなければなりません。
リズムアンサンブルの楽しさをダイレクトに味わうことが出来る、とても奥深い楽器です。
残念ながら、メジャーな楽器ではないからか、ティンバレス奏者はそれほど多くはありません。
この記事が、新たなティンバレーロ、ティンバレーラ誕生への手助けになれたならば幸いです。
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