スネアドラムとは、1番重要な『ノリ』を司っているドラムのことです。
ライブなどで人が「オイッ!オイッ!」などとコールする部分をよく聞いてみると、その部分には必ずスネアドラムが鳴っています。
このことからも、スネアドラムが曲のグルーヴに大きく関わっていることは一目瞭然。
- スネアドラムとは何なのか?
- どんな構造になっているのか?
- その構造がどのように音へ影響するのか?
などに関して解説していきますので、この記事を読むことでスネアドラムについて人に話ができるほどの知識が付くことをお約束します。
ぜひ最後までお付き合いください。
スネアドラムとは
スネアドラムとは、ドラムセットの中の主人公と言っても過言ではありません。
まずスネアドラムの簡単な構成を説明すると、金属や木材で成形された胴体(シェル)にプラスチック製の皮(ヘッド)を両面に張り、フープ(リム)で固定された太鼓です。
裏面のヘッドにはスナッピーという響き線がついており、これがスネアドラムらしい音を奏でる要因です。
スネアドラムの主な役割は、バックビートを演奏することにあります。
バックビートとは、例えば「ドンタンドドタン」と演奏する時の「タ」の位置に相当する、2拍目4拍目で演奏されることが多い音のことです。
バックビートは主に曲のノリを作っており、ほのバックビートを担うスネアドラムは演奏の中核を担う存在。
そして、ドラムセットの中だけで使用されるのかというと、そんなことはありません。
テーマパークなどで見かけるマーチングバンドや、吹奏楽、オーケストラなんかではスネアドラムだけを演奏しており、単体でも花形楽器の一つとしての地位を確立しています。
ドラムセットの中でも、単体でも映えるスネアドラムの音は、まさにドラムセットの顔といえるのです。
スネアドラムの歴史
中世ヨーロッパ
スネアドラムの起源は「Tabor(テイバー)」という楽器から始まります。
テイバーは口径は小さいですが、深さは深い胴体に動物の皮をヘッドの代わりとし、絹や麻の響線(現代ではのスナッピーの代わり)が取り付けられた楽器です。
片手には笛を持ち、もう片方の手にはスティックを持って、肩からかけたテイバーを演奏することで、軍楽隊の主役として人々を勇気づけたところがスネアドラムの起源になります。
近代
スネアドラムも大型化され、両手を用いて演奏されるようになります。
構造面ではスナッピーは絹や麻からガットに変化し、そのスナッピーをネジで固定するという進化を遂げています。
この頃からオーケストラでも使用されるようになっており、現代の使用方法に似てきていることがうかがえます。
現代
20世紀初頭から、アメリカ、ニューオーリンズ州からディキシーランド・ジャズというジャズの最も初期スタイルが流行します。
このディキシーランド・ジャズの中でスネアドラムがドラムスタンドに取り付けられて演奏することで、現代のスタイルが確率されました。
この時にスナッピーは金属製へと変化し、シェルもこれまでは木胴一択でしたが、金属などが用いられるようになります。
スネアドラムのパーツと役割
スネアドラムは、下記のパーツが組み合わさった構成になっております。
- シェル(胴体)
- ヘッド
- フープ(リム)
- テンションボルト
- ラグ
- スナッピー
- ストレイナー
シェル
シェルとは、スネアドラムの胴体部分で、主な材質は木胴や金属で、素材を円形に成形することで製作されます。
木胴や金属の他にもアルミやカーボン、アクリルなどで作られる珍しいシェルもあります。
このシェルが最もスネアの音に影響を与え、材質はもちろん製作方法などでも音色の違いが出てくるのです。
ヘッド
ヘッドとはスティックで叩く皮の部分で、表面をバターサイド、裏面をスネアサイドと呼びます。
裏面に関しては、響線(スナッピー)が装着される関係で表よりも薄く作られており、スナッピーに振動が伝わりやすくなっています。
勿論スティックが直接当たる部分ですので、使用すればするほどヘタっていきます。
これは裏面も同様で、張力によって劣化してしまう部分なので、ヘッドに関しては消耗品であり交換が必要です。
また、ヘッド単体でも多種多様な製品があり、それぞれに音の特徴があります。
フープ
フープは、ヘッドを固定するスネアドラムの縁の部分ですが、フープによってもスネアドラムの音色が変化します。
フープはリムとも呼ばれており、ヘッドを固定するだけでなく、演奏においても使われることもあります。
例えばバックビートを演奏する時にフープ(リム)と一緒にヘッドを叩くことで「カツーン」というパワフルな音を鳴らすオープリムショット。
また、バラードなどで「コツッ」という控えめながら上品な音を奏でるクローズリムショットなどに使用されます。
テンションボルト
テンションボルトとは、ヘッドの固定やチューニングをするための少し長めのボルトのこと。
- テンションボルトを緩める:音は低くサスティーン(音の減衰)は長くなる
- テンションボルトを締める:張力が増して音が小さくタイトになる
テンションボルトの調整にはチューニングキーが必須です。
チューニングキーはドラマー必須のアイテムですので、肌身離さず持ち歩くようにしましょう。
ラグ
ラグは、テンションボルトを差し込むための部位で、形状や数量が音にも影響します。
ラグが大きければ大きいほどシェルの振動への干渉が大きいので音はタイトに。
一方、小さめに作られたものはシェルの素材を活かす方向になります。
スナッピー
スナッピーは、裏面ヘッドに装着された響線です。
スネアドラム独特の「ジャラッ」という音が残る感じは、まさにこのスナッピーの仕業。
スナッピーは20本のものがスタンダードとされていますが、中には42本のものもあり、試しに交換してみるとびっくりするほど音色が変わります。
スネアドラムへの音色が大きいだけに多種多様な製品が存在するので、ぜひ色々と試して欲しいです。
ストレイナー
ストレイナーは、スナッピーを固定させる部位のこと。
ストレイナーにはレバーが付いており、このレバーでスナッピーのオンオフ切替が可能になります。
また、調整ボルトも付いており、スナッピーの張り具合を調整することでサスティーンの長さを変えることも可能です。
スネアドラムを置く位置
スネアドラムは、一般的に奏者側に1番近いところに置かれます。
1番使用頻度が高いので、それだけ叩きやすい位置にあるのも納得です。
利き足側にバスドラム、逆足側にハイハットスタンドがある場合に、その両足で挟み込むような位置にあることが多いでしょう。
人によっては10インチほどのサブスネアを置くという方もいます。
サブスネアの位置は人それぞれですが、ハイハットの隣に置かれることが多いです。
メインとサブのスネアでハイハットを挟み込むような位置にそれぞれ置かれるというとイメージしやすいでしょう。
スネアドラムの音の特徴
スネアドラムの音の特徴としては、
- スナッピーが装着されている
- 太鼓類の中で音が高めに設定されている
上記2つの特徴が挙げられます。
スナッピーが装着されている
先ほどもご説明したように、スネアドラムの裏面ヘッドには、スナッピーというコイル状に巻かれたワイヤーが装着されています。
裏面ヘッドが震える際にワイヤーが震え、一緒に鳴ることで、スネアドラムらしい音が鳴ります。
ですので、スナッピーとスネアドラムは切っても切れない関係なのです。
スナッピー選びはもちろん音作りの中では重要ですが、スナッピー単体で選ぶよりもスネアドラムとの相性で選んだほうがより良い音に近づきます。
まずはスネアドラムの裏面にはスナッピーが装着されていることを認識し、そこがスネアドラムの音色を特徴付けていると理解しましょう。
太鼓類の中で音が高めに設定されている
ドラムセットの太鼓類はスネアの他にハイタム・ロータム・フロアタムの4つが並べられていることが一般的です。
この4つの太鼓の中でスネアドラムは1番高い音がします。
高い音がすることに加えて、スナッピーが装着される特性上、ドラムセットの中でも一際派手で目立つ音がします。
ですから、スネアドラムを曲に合った音で鳴らすことができると、曲の世界観の引き立て役になります。
逆に強弱表現などを間違えると悪目立ちしてしまい、曲の世界観を崩壊させるなんてことも…。
よって、スネアドラムを演奏する際は、曲の意図をしっかり理解することが重要なのです。
スネアドラムのサイズ
スネアドラムのサイズに関しては、さまざまな口径の大きさと、深さが関係してきます。
口径の大きさ
スネアドラムの口径は打面の大きさを指し、インチ表記で表されます。
スネアドラムの口径に関する解説は、下記の通りです。
- スネアドラムは14インチがスタンダード
- 10・12・13インチのものもある
- 口径(インチ)が大きくなれば音量は大きく、音程は低くなる
- 口径(インチ)小さくなれば音量は小さく、音程は上がる
- 10インチの小さなものはサブスネアとしてパーカッシブな音を出したい時に使われることが多い
口径が小さいと音量が小さくなるとお伝えしましたが、実は小さい方が叩いた衝撃がシェルにしっかり伝わり、鳴らし切ることが簡単になるので音が大きく感じることもよくある話です。
一方のスタンダードサイズでさる14インチのスネアに関しては、太鼓本来の音色が出るほど鳴らし切るということは思っている以上に難しいことも。
スネアドラムを叩くときは、しっかりと下まで打ち抜く意識を持って演奏するようにしましょう。
深さ
スネアドラムの深さに関してもインチ表記で表されます。
スネアドラムの深さに関しては下記の通りです。
- スネアドラムの標準的な深さは5インチ〜5.5インチ
- 6.5インチほどは「深胴」と呼ばれる
- 3〜4インチほどは「ピッコロ」と呼ばれる
- 深さが浅い:サスティーンが短く、叩いた時の反応が良くてキレの良い音になるが、音量は小さくなる
- 深さが深い:サスティーンが豊富であり、音量が大きい。しっかり裏面ヘッドまで抜ける音を叩く意識を持たないと、スネア本来の鳴りを生かすことが難しい
など、実はスネアドラムの深さもスネアドラムの音に親密に関わってきます。
スネアドラムの素材
スネアドラムのサウンドの中心を担うのが「シェル」と呼ばれる、いわばスネアの胴体部分です。
そのスネアドラムの胴体部分の材質の違いが大きくサウンドに影響を与えますが、大きく分けると木胴と金属胴の2つに分けられます。
そして木胴スネアは下記のような種類のものがあります。
- メイプル
- バーチ
- ブビンガ
- マホガニー
金属の種類は下記になります。
- スティール
- ブラス
- コパー
- ブロンズ
そして、木胴・金属胴以外の素材に関しては下記になります。
- アルミ
- アクリル
- カーボン
木胴スネア
木胴スネアは、木の温かみを感じられるサウンドが特徴です。
サスティーンも短めになる傾向にあり、柔らかく丸みのある音を奏でるので、バラード調の曲にも向いています。
だからと言ってロックをやるから金属胴にするかと言えばそれは早計で、例えばメイプル材では明るく、抜けの良い音が特徴とされているので、ロックにも合う木胴スネアはたくさんあります。
そして木胴スネアは管理をしっかりと行えば、年月と共に音に渋みが加わったり、鳴りが良くなったりという経年変化があることが大きな特徴です。
木胴スネアといっても、さまざまな材質があります。
木胴スネアでよく使われる素材が、それぞれ主にどんな音がするのか紹介していきます。
メイプル
メイプルは、スネアのみならずドラムセットにおいて代表的とも言える素材です。
明るく、抜けの良いサウンドでありながら、低域をおろそかにすることがなく、幅広いジャンルに対応できる素材です。
それでいて木胴スネアらしい温かみ、丸みを感じさせる質感の音がします。
まさに木胴スネアのスタンダードであり、木胴スネアを知るには最適の素材です。
バーチ
バーチは、メイプルと双璧をなすほどドラム界で有名な素材。
中低域を全面に押し出されており、腰をじっくりと据えた、安定感のある太いサウンドが特徴です。
メイプルよりも硬い木材のため、振動性が少ないです。
そのことから、サスティーンが短めになり、輪郭のハッキリとした音になるというのもバーチ材の特徴となります。
ブビンガ
ブビンガは、バーチ材よりもさらに重く、硬い素材です。
日本三大ドラムメーカーの一つ、TAMAが上位機種のドラムセットで使用されたことから、近年注目を浴びています。
そのサウンドは重く硬い素材から想像される期待を裏切らない、重厚感のあるサウンドをしています。
打点がしっかりと分かるようなシャープな音に加え、中低域を存分に生かしたダークかつパワフルな音色で抜群の存在感を誇ります。
マホガニー
ヴィンテージドラムなどでよく見かける素材で、どこか高級感を漂わせるのがこのマホガニー。
マホガニー単体で用いられることは少なく、別の材質と組み合わせて使うことが多いという特徴があります。
音色に関しては木材の温かみ、丸みを全面に押し出した耳馴染みの良い音色が特徴です。
抜けの良い音ではないですが、どんな音楽にもマッチし、周りを引き立て、アンサンブルに溶け込む、まさに包み込む音と言えるでしょう。
金属
金属胴スネアの長所は、パワーがあり、煌びやかな音を出す点です。
サスティーンも豊富に鳴り、硬めのサウンドになるので、ロックやメタルを演奏する場合に金属胴スネアを選択することが多いです。
木胴スネアは木の変化があるため湿度などから守る管理に注意しなければなりませんが、金属胴スネアはそのような変化がないため、管理が楽というメリットがあります。
過度に濡れたことによる錆や腐食、大きな衝撃を受けた時の凹みにさえ気をつければ、年月が経っても音色の変化が少ないので、初心者の方はまず金属胴から入ることをオススメします。
金属胴にも様々な材質がありますので、代表的な素材を見ていきましょう。
スティール
スティールは、金属胴スネアとしての定番の素材です。
シェルのみならず、ラグやフープ、ボルトなどのパーツ類はスティールで作られているものが多いです。
明るく、ストレートなサウンドで抜けが良く、ロックはもちろん、様々なジャンルで活躍してくれます。
材質自体の価格が比較的安価なのでコスパが良いものが多いですが、少し錆びやすい傾向にあるので、濡れた時などの対処は忘れないようにしましょう。
ブラス
ブラスは銅と亜鉛の合金で、真鍮とも呼ばれます。
このブラス材も金属スネアの定番とされています。
1970年代まで欧米ではスティールよりもこのブラス材が主流であったため、むしろこちらが金属胴スネアの本流とも言えます。
サウンドは何よりも派手で華やか。
煌びやかなサウンドという表現がぴったりで、その派手さはサスティーンが豊富で伸びやかであることから来ています。
塗装方法によってもサウンドが変わり、ニッケル塗装をすればタイトに、ラッカー塗装をすればオープンなサウンドになるので、塗装仕上げの部分も選ぶ際に考えると良いでしょう。
コパー
コパーはブラスと比較して少し重めの金属材です。
和名は銅なので、銅をイメージしてもらうとコパー材の特徴を把握しやすいでしょう。
シェルが金属胴の中でも特別柔らかく、そのため中低域が強調された柔らかく太い音が特徴です。
パワーも他の金属胴と控えめであり、まるで木胴スネアのような特徴になっています。
ですが木胴には出来ないハンマリングという加工をされたシェルも多く、独自の音色を奏でると言った少し珍しいシェル材です。
金属胴スネアほどの高域は出したくないけど、かと言って木胴スネアよりはヤンチャ感が欲しいという方にはジャストフィットするのがコパー材です。
ブロンズ
銅材に錫を混ぜた合金がブロンズ材です。
青銅=ブロンズと思えば分かりやすいと思います。
コパー材と同じく木胴スネアのような暖かみのあるサウンドを持ちながら、ブラス材の煌びやかさを組み合わせたハイブリッドな音がします。
音程としては中低域を強調しながらも、高音域が程よく鳴り、バランスが良いです。
CANOPUSやLudwigのようなスネアドラム界隈で評価の高いメーカーも好んで採用する、シェル材として大変優秀な素材です。
その他
木胴、金属胴以外で使われることのある素材も見てみましょう。
アルミ
アルミニウムもスネアドラムのシェル材として有名で、歴史も古いです。
アルミだけあって非常に軽量です。
音の特徴は明るくて、サスティーンが短く、歯切れの良い音とされています。
素材自体が柔らかく軽いので、スティールと比較すると硬質になりすぎず、大人しめのサウンドとなっています。
Ludwigのアクロライトという代表作があるように長年愛され続ける素材であり、王道にも似たサウンドを奏でる素材がアルミ材です。
アクリル
透明なシェルがなんとも印象的なのがアクリル材です。
X JAPANのYOSHIKIさんが使用している映像を見たことがあるでしょう。
ステージ上で照明に照らされた姿は他の材質とは比べ物にならないほど魅力的です。
素材が振動がしにくいため、鳴らすのが難しいという特徴があります。
サウンド面は程よくまとまりがある中低域の太いサウンドです。
キワモノと思われがちですが、タイトで輪郭のはっきりしたサウンドを求める人にはうってつけの素材となっています。
カーボン
炭素繊維を用いた素材であるカーボン材もスネアドラムに使用されることがあります。
パワフルで、アタック感があり、重心の低い、抜けの良い音が特徴です。
しかし、ただ単にヘビーなサウンドというだけで無く、炭素繊維が用いられてることからくる柔らかさも感じられます。
なかなかお目にかかることは難しいですが、ハードな音楽を求めている方には是非一度試して欲しい素材です。
他にも複数の木材や、複数の金属材を組み合わせた製品もあります。
楽器屋さんで特殊なシェルを見かけたら、ぜひ試打してみましょう。
その音色の違いを感じることは、きっとあなたの今後の音楽家人生を広げるものとなるでしょう。
フープの形状
ヘッドを固定するスネアドラムの縁部分であるフープの形状によっても音の違いが現れます。
大きく分けると下記の3種類に分けることが可能です。
- プレスフープ
- ダイキャストフープ
- ウッドフープ
また、フープは単体で購入することも可能ですので、マイスネアを持ったらフープの交換をしてみると、その違いについてもよく理解できます。
プレスフープ
金属をプレスして薄板を作り、薄板を折り曲げて成形して作られたものがこのプレスフープ。
この薄板の折れ曲がりをフランジと呼び、音にも影響しますが、現在は3回折り曲げられたトリプルフランジフープが主流です。
薄板を成形して作られているので、軽量で楽器への干渉も比較的抑えられ、スネア本来の鳴りを活かした抜けの良い、開放感のある音になります。
材質としてはスチールが一般的ですが、ブラス材やアルミ材を使用したものもあるので、フープの材質もぜひ注目してみましょう。
ダイキャストフープ
ダイキャストフープは型に金属を流し込んで鋳造されたフープのことを言います。
鋳造しているため、非常に頑丈で、分厚いフープになるので、耐久性に優れています。
音はその堅牢さを活かして硬質な音に寄っていくので、タイトでアタックが強く、派手な音に仕上がります。
ロックやメタルなんかをやる時には、このダイキャストフープを使ったほうが周りのサウンドに埋もれずに存在感を発揮することでしょう。
ウッドフープ
合板を重ね合わせ、木材(主にメイプル材)で作られたのがウッドフープ。
金属よりも耐久性が劣り、管理も煩雑、そして高コストのため、なかなか手が出せないでしょう。
しかし、ぜひこのウッドフープの良さを体感してほしいです。
金属とはまた違った、温かみのある、包み込むような音でありながらも、音も埋もれにくいです。
特にスネアのリムを叩くクローズドリムショットでは抜群の効果を放ち、その音はこのウッドフープでしか出せないでしょう。
ラグの数と構造
テンションボルトを差し込むラグの数や構造によっても音の違いは現れます。
数量
主にスネアドラムのラグ数は、8テンション(8ヶ所)のものと10テンション(10ヶ所)の2種類に分かれます。
8テンションの方がシェルの振動を抑えるものが少なくなるので、楽器本来の鳴りを活かした、音量の大きくヌケの良いサウンドになります。
10テンションは反対に倍音が抑えられた、タイトで硬質な音がする傾向にあり、ロックなどに向いています。
構造
ラグの構造は大きく2つに分けられます。
1つ目は上下のボルトを1つのラグで支える橋のような形状をしたブリッジタイプ。
もう1つは上下のボルトをそれぞれ独立した、小さめのラグで支えるセパレートタイプです。
一般的にブリッジタイプの方がシェルとの接地面積が少ないので、シェルの振動を活かしたオープンなサウンドに。
反対にセパレートタイプの方はシェルの振動を抑える方向になるので締まりの良い、アタック感のある音になります。
しかしこれはそれぞれのラグの大きさ等に起因するため、一概に言えるものではありません。
ですが、ラグの大小、接地面の大きさで開放的な音か、タイトな音になるのかは覚えておいて損はありません。
ラグの形状にも是非注目してスネアドラムを見てみるのも新しい発見があるでしょう。
シェルの構造の違い
木胴スネアに限った話にはなりますが、シェルの構造の違いも音に反映されます。
大きく分けると、合板が使われているものと、単板が使用されているものに分けられます。
合板
薄板を重ねて整形したものが合板になります。
板を重ねた枚数を「プライ」と呼び、例えば6枚重ねられたものは6プライと呼ばれます。
6〜10プライのスネアが多く、プライ数が多くなるほど、板の振動が抑えられるので硬質でキレの良い音に。
反対にプライ数が少なくなれば振動が多くなるので叩いた時の反応が良くなり、丸みを帯びた、包み込むような音になります。
単板
一枚の分厚い板を筒状に成形して作られるのがこの単板シェルです。
一枚の板を太鼓の形に成形するので、非常に手間がかかるので、高単価になりがちですが、それに見合った上品な音が特徴です。
一枚の板が振動するだけなので、反応が非常に早く、大音量で鳴りがよく、それでいて豊かなサスティーンがあります。
また一枚の板を筒状にすることが非常に難しいので、ドラムセットの中でもスネアドラムにしか採用出来ない事も大きな特徴です。
また、木そのものの特徴が出やすく、個体差も大きいことも特性として挙げられます。
チューニングも難しく、初心者の方に気軽にオススメできるものではありません。
しかし、その上品な音は自分はもちろん、周りの演奏家を包み込み、モチベーションを上げる事でしょう。
ぜひ一度試す機会があれば体験してみてください。
まとめ
スネアドラムは単体で演奏されることもあるだけに、スネアドラム1つだけを切り取ってみても非常に奥深いです。
さらにスネアドラムにはヘッド・スナッピーなど、音色を変化させる要素がまだまだあります。
まさにスネアドラムという楽器だけに人生を捧げても全く不思議じゃないほど魅力的な楽器です。
この記事を読んで少しでもスネアドラムへの理解が深まったならば、是非とも購入してみましょう。
その音色を一度体験してみることは、知識だけ知っていることと全く異なります。
まずは1つのスネアドラムをじっくりと使い倒してみることで、きっともっとスネアドラムについて知りたいという気持ちが芽生えるでしょう。
それだけの魔力があるスネアドラム、ぜひ体験して奥深い世界に触れてみてください。
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